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ベンダーロックインの垂直統合型システムとはひと味違う?

OpenStackまで取り込んだ5年目のHPの統合型システム

2014年04月18日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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4月17日、日本ヒューレット・パッカードは統合型システムの最新版「HP ConvergedSystem」を発表した。また、OpenStackをベースにしたクラウド基盤管理ソフト「HP CloudSystem」も登場。導入や管理の容易なインフラアプライアンスとして、最新のITトレンドに対応する。

統合型システムを最新ITトレンドに最適化

 今回発表されたHP ConvergedSystemは、サーバーやストレージ、ネットワーク機器、管理ツールなどをワンパッケージ化した統合型システム。アプリケーションの稼働に必要なインフラやツールをあらかじめ統合しておくことで、迅速な導入を実現。拡張も柔軟に行なえるよう設計されている。

会場に展示された「HP ConvergedSystem for Virtualization」

 発表会に登壇した日本ヒューレット・パッカード HPサーバー事業統括本部 HPサーバー製品統括本部 統括本部長 橘一徳氏は、クラウド、ビッグデータ、モバイル、ソーシャルなどの4つのトレンドが“New Style of IT”を生みだす一方、インフラの管理コストが増大傾向にあると指摘。これら最新のトレンドに対応し、新しいインフラ管理をもたらす製品として、統合型システムを刷新したと説明した。

日本ヒューレット・パッカード HPサーバー事業統括本部 HPサーバー製品統括本部 統括本部長 橘一徳氏

 同社初の統合型システム「HP BladeSyetem Matrix」が登場した2009年は、仮想化技術が急速に台頭した時期。こうした中、統合型システムは、柔軟性を欠き、複雑化したITを仮想化によってよりシンプル化するという目的があった。その後、2011年にはプライベートクラウド環境の実現を支援する「HP CloudSystem」や「HP VirtualSystem」、「HP AppSystem」などポートフォリオを拡大。現在では、グローバルで2500ユニット以上、アジア地域でも1000ユニットの導入実績を実現しているという。

ソフトウェアのための専用ハードウェア

 今回発表されたHP ConvergedSystemは統合型システム自体のコンセプトを継承しつつ、クラウド、仮想化、ビッグデータ、モバイルというメガトレンドに向けたワークロードへの最適化を図った。

 日本ヒューレット・パッカード HPサーバー事業統括本部 エンタープライズサーバー製品部 部長の中井大士氏は、「当初は一部のワークロードのみ対象で、製品もブレードサーバーにフォーカスしていた。HP ConvergedSystemでは、さまざまなワークロードに最適な統合型システムとして提供する。幅広い製品を提供しているHPだからこそできる」と語る。2009年当時、先進的だった仮想化がすでに一般的になった今、クラウドやビッグデータ、VDIなど新しいITソリューションに取り組む。

日本ヒューレット・パッカード HPサーバー事業統括本部 エンタープライズサーバー製品部 部長 中井大士氏

 具体的には、SAP HANA、VERTICA、OpenStack、Citrix、VMwareなどのソフトウェアをターゲットにした専用ハードウェアという発想で、最新のサーバーとテクノロジーを適材適所に配置。サイジングと機器構成を最適化した4シリーズをラインナップした。また、“管理もConverge”ということで、仮想化やハードウェア管理も統合されており、拡張やアップデートも容易になっている。

HP ConvergedSystemのポートフォリオ

 たとえば、最大300VMまでをカバーする「HP ConvergedSystem 300 for Virtualiazion」では、ラックマウントサーバー「HP ProLiant DL300」とストレージ管理ソフトの「HP StoreVirtual VSA」、スイッチなどで構成。1000VMクラスの「HP ConvergedSystem 700/700x for Virtualiazion」ではブレードサーバーと「HP 3PAR StoreServ」、スイッチの組み合わせになる。VMware前提の700に対し、700xはVMware以外のハイパーバイザーのため、カスタマイズの余地を残す。ここらへんの柔軟さも今回の特徴だ。

 ビッグデータを前提とした「HP ConvergedSystem 500 for SAP HANA」では高い信頼性を実現すべく、ラックマウントサーバーの「HP ProLiant DL580」にSAP認定のバックアップソフト「HP Data Protector」、SAP HANAのHA構成を可能にする「HP Service Guard for Linux」を組み合わせた。管理ツールのみならず、こうしたミドルウェアが組み込まれているのも新機軸といえる。なおメモリ16TBのスケールアウト構成には、スイッチや3PAR StoreServが含まれる。

 モバイルのアクセス基盤として提供される「HP ConvergedSystem 100 for Hosted Desktop」に関しては、超高密度サーバー「HP Moonshot System」を採用。シトリックスとのコラボレーションにより、仮想化を使わないリモートデスクトップ環境を提供する。

HP Moonshot Systemを採用した「HP ConvergedSystem 100 for Hosted Desktop」

 アプリケーション稼働環境をワンストップで提供するHP ConvergedSystemの導入により、ユーザーはサービスインまでの時間を大幅に短縮。最短1日のオーダー、30日以内での納品を実現するほか、「拡張キットを使うことで、VM数や容量なども、最短5日で拡張できる」(中井氏)という。

OpenStackベースのクラウド基盤管理へ

 今回の発表のもう1つの目玉は、OpenStackをベースにしたクラウド基盤管理ソフト「HP CloudSytem」だ。自社のクラウドでも積極的にOpenStackを採用するHPだが、今度は統合型システムにおいてもOpenStackを取り込む。橘氏は「推進しているベンダーや団体を見ると、これは業界標準になっていくのは間違いない」と語る。

 現在提供中のクラウド基盤管理ソフト「HP Matrix Operating Environment」がHP独自の技術をベースにしているのに対し、HP CloudSystemはOpenStackをベースにした「HP Cloud OS」を採用する。パブリッククラウドゆずりの操作性を持つほか、システム構成をテンプレート化することが可能。もちろん、ユーザーインターフェイスやAPIもOpenStackベースで、HP Public CloudやAWS、Microsoft Azureなどパブリッククラウドとの連携も実現する。なにより、オープンソースであるOpenStackを、HP自体が商用製品としてサポートするのが大きな特徴だ。

 HP CloudSystemはソフトウェア単体での提供のほか、「HP CloudSystem 700x for CloudSystem」として、インフラまで含めて提供される。シンプルなIaaS環境を提供する「HP CloudSystem Foundation」とバースティングやポータルカスタマイズ、テンプレートなど高機能なIaaS/PaaS環境を提供する「HP CloudSystem Enterprise」の2種類のラインナップが用意されるという。

HP CloudSystemのラインナップ

 ベンダーロックインの懸念がつきまとう垂直統合型システムと位置づけられるHP ConvergedSystemだが、橘氏は「あえて垂直統合型システムではなく、統合型システムという言い方をした」と他社製品との違いを強調。x86サーバーや汎用ストレージ、ネットワーク機器を組み合わせ、さらにパブリッククラウドで実績の高いOpenStackを取り込むことで、より高いオープン性を実現したとアピールした。

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