USB端子はあれどインターフェースとしては機能せず
Line 6のアンプシミュレーターは、USBオーディオ・インターフェース機能を持っていて、パソコンに接続すればそのままシミュレーターを通した音がDAWに録音されます。AMPLIFiにもUSB端子があるので当然使えると思いきや「現時点では機能していません」とマニュアルには書かれていました。がーん。
ヘッドホン出力はややハイ上がりなので、仕方なくアンプシミュレーターの前にマイクを立てて録音。ご近所に気を使いながら、ごく短時間、試奏というより実際に音を出して試してみたぞという、アリバイのようなものとしてお納めください(いいわけがましい!)。
ストラトのリア(ブリッジ側)ピックアップで、AMPLIFiのアンプモデル「1968 Plexi Jump Lead」とキャビネットモデル「4X12 Green 20's」を使っています。要するに昔のMarshallです。アンプのセッティングは、当然プレゼンスを除いて「フルテン」です。
まずギターのボリュームを絞った状態でクランチトーン。そしてギターのボリュームを上げてディストーションめいっぱい。次に単音で弾くにはゲインが足りないので、アンプ手前に「Boost + EQ」と「Stereo Expo Chorus」を置いて軽くモジュレーションをかけつつブースト。
最後にステレオ感のチェックのつもりで「Stereo Ping Pong Delay」を入れてみましたが、スピーカー出力はもともとステレオ感が薄い上に、クロースマイクなので音が飛んでいる様子がわかりません。このディレイはヘッドホンで聴くと、はっきり左右に飛び回って面白いのに。残念!
AMPLIFiにはもっとデジタルならではのメリットがほしい
AMPLIFiのメーカ―の売り文句は「ギターアンプを再発明」。つい「車輪の再発明(reinventing the wheel)」という慣用句を思い浮かべるわけですが、この言葉の前にはおおむね「Don't」が付くものなのであります。無駄なことをイチからやるなという意味ですが、あえてそれをわかったうえでトライするという意味もあります。
最近ではアンプシミュレーターがお手本にしているホンモノの真空管アンプも安くなりました。特に家庭での練習に向いた10W程度までのアンプは種類も豊富で、Marshallも積極的に製品を送り込んでいますし、VOXには1万円台で買えてしまう製品もあります。
昔はそんなレガシーなアンプを駆逐する勢いだったアンプシミュレーターですが、こうなるとデジタルならではのメリットをもっと前に出さなければなりません。家庭練習用と割り切ったAMPLIFiなら、クラウドでデータ共有できるメリットを活かして、スタジオやライブハウスのスピーカーキャビネットに接続できる携帯用ヘッドアンプのようなものも欲しいところ。
おそらくヤマハ傘下に入って新時代を迎えたLine 6の皆さんは、もっと高度なことをいろいろと考えていらっしゃると思います。私は永遠のギターキッズとして、今までにないものが出てくることを、永遠に期待し続けるのであります。
著者紹介――四本 淑三(よつもと としみ)
1963年生れ。フリーライター、武蔵野美術大学デザイン情報学科特別講師。インターネットやデジタル・テクノロジーと音楽の関係をフォロー。趣味は自転車とウクレレ。