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最新パーツ性能チェック 第157回

水冷仕様のデュアルGPU「Radeon R9 295X2」はどれだけすごい?

2014年04月09日 17時00分更新

文● 加藤 勝明

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 AMDは4月8日、同社のデュアルGPU搭載カードの最新モデル「Radeon R9 295X2」(以下、R9 295X2)を正式にリリースした。デュアルGPUカードの更新は、2013年4月の「Radeon HD 7990(Malta)」なのでほぼ1年ぶりとなる。

 Maltaは3連空冷ファン仕様だったが、R9 295X2は完全水冷仕様のまさにモンスターカード。先日当サイトで紹介した謎のアタッシェケースの中身は、このR9 295Xだったのだ。

「Radeon R9 295X2」

 AMDはこのR9 295X2を“4Kゲーミング”のための製品と位置づけているが、まず注目すべきは価格。米国での想定価格は1499ドルなので、国内では16万円前後という大層な価格になりそうだが、GeForceベースの最新デュアルGPUカード「GeForce GTX TITAN Z」が2999ドルという点を考えると、ほぼ半額で提供されることになる。

 はたして現行ゲームでどの程度の実力を発揮するのか、今回はこの完全水冷&デュアルGPUカードの実力をチェックしてみたい。

R9 290Xがまるごと2枚分、TDPは500W

 ではR9 295X2のスペックを見てみよう。下表にある通り、2枚分のR9 290Xを1枚の基板に納め、標準でCrossFireX(CrossFireX)動作するように設計したのだ。ただしコアクロックだけはR9 290Xの最高1000MHzから1018MHzに引き上げられている。

各ビデオカードの比較表
  Radeon R9 295X2 Radeon R9 290X Radeon HD 7990(Malta) Radeon HD 7970 GHz Edition
製造プロセス 28nm 28nm 28nm 28nm
ストリーミング
プロセッサー数
5632基 2816基 4096基 2048基
コアクロック 1018MHz 1000MHz 950MHz(ブースト時1GHz) 1050MHz
メモリクロック(相当) 5GHz 5GHz 6GHz 6GHz
メモリー搭載量 GDDR5 8GB GDDR5 4GB GDDR5 6GB GDDR5 3GB
メモリバス幅 512bit×2 512bit 384bit 384bit
TDP 500W 250W 非公開 250W
外部電源 8ピン×2 8ピン+6ピン 8ピン×2 8ピン+6ピン

テスト時点での「GPU-Z」ではまだ不明な情報が多いが、2GPU構成のCrossFireX構成(下から2段目)であることが示されている

 これだけのスペックを詰め込んでいるため、TDPは500Wと前代未聞の熱量になった。R9 295X2の水冷システムは、2スロット厚のカードでこの巨大な熱量を確実に冷却するための仕掛けなのだ。

R9 295X2の構造。GPUは独立した水枕で冷却し、それ以外のチップは基板を挟み込むヒートシンク(スプレッダー)とカード中央のファンで冷却する

 この水冷ユニットはCPUの簡易水冷でおなじみのAsetekが手がけたものだが、デュアルGPU構成に合わせ、2つの水枕を直列につないだ特別製となっている。カード中央部分に空冷ファンがあるが、これはGPU以外のチップ(VRやメモリーなど)を冷やすためのものだ。

ラジエーターユニットの寸法(ファン含む)は120(W)×65(D)×153(H)mm。CPU用簡易水冷キットと同じだ

画面出力端子はMini DisplayPort×4にDVI×1の構成。これは1世代前のHD7990と同じ構成となる

補助電源は8ピン×2。各コネクターは最大28Aの電力を消費する可能性があるため、推奨電源ユニットの出力は1000Wとなっている

 最後に解像度の制約について触れておきたい。現在入手できる4K液晶にリフレッシュレート60Hzで出力するには、DisplayPortケーブルと、液晶側で「DP1.2」設定の有効化という2つの条件があるが、R9 295X2でこの条件を満たすと画面解像度は4K(3840×2160ドット)に固定される。

DP1.2を有効化した4K液晶に接続すると、このように4K以外の解像度は選べなくなる。これはゲームの解像度設定にも影響するので、使用時は十分に注意だ

 ただしこれはR9 295X2の制約というよりは、RadeonのCrossFireX環境とドライバーの組み合わせによる制約といえる。ただ、近年のゲームの画面解像度は、デスクトップの解像度設定と同じ選択肢から選ばれる。

 つまり4K液晶でDP1.2設定(いわゆるMSTモード有効)にすると、実質上4K専用ビデオカードとなるのだ。DP1.2を無効化すれば普通にフルHD@60Hz出力等も可能になるので、状況に応じて変更するとよいだろう(もちろんDVIを使うという手もある)。

ちなみに、R9 295X2のファンは、負荷が高くなるにつれて、強く光るようになっている

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