AMDは4月8日、同社のデュアルGPU搭載カードの最新モデル「Radeon R9 295X2」(以下、R9 295X2)を正式にリリースした。デュアルGPUカードの更新は、2013年4月の「Radeon HD 7990(Malta)」なのでほぼ1年ぶりとなる。
Maltaは3連空冷ファン仕様だったが、R9 295X2は完全水冷仕様のまさにモンスターカード。先日当サイトで紹介した謎のアタッシェケースの中身は、このR9 295Xだったのだ。

「Radeon R9 295X2」
AMDはこのR9 295X2を“4Kゲーミング”のための製品と位置づけているが、まず注目すべきは価格。米国での想定価格は1499ドルなので、国内では16万円前後という大層な価格になりそうだが、GeForceベースの最新デュアルGPUカード「GeForce GTX TITAN Z」が2999ドルという点を考えると、ほぼ半額で提供されることになる。
はたして現行ゲームでどの程度の実力を発揮するのか、今回はこの完全水冷&デュアルGPUカードの実力をチェックしてみたい。
R9 290Xがまるごと2枚分、TDPは500W
ではR9 295X2のスペックを見てみよう。下表にある通り、2枚分のR9 290Xを1枚の基板に納め、標準でCrossFireX(CrossFireX)動作するように設計したのだ。ただしコアクロックだけはR9 290Xの最高1000MHzから1018MHzに引き上げられている。
各ビデオカードの比較表 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
Radeon R9 295X2 | Radeon R9 290X | Radeon HD 7990(Malta) | Radeon HD 7970 GHz Edition | |||
製造プロセス | 28nm | 28nm | 28nm | 28nm | ||
ストリーミング プロセッサー数 |
5632基 | 2816基 | 4096基 | 2048基 | ||
コアクロック | 1018MHz | 1000MHz | 950MHz(ブースト時1GHz) | 1050MHz | ||
メモリクロック(相当) | 5GHz | 5GHz | 6GHz | 6GHz | ||
メモリー搭載量 | GDDR5 8GB | GDDR5 4GB | GDDR5 6GB | GDDR5 3GB | ||
メモリバス幅 | 512bit×2 | 512bit | 384bit | 384bit | ||
TDP | 500W | 250W | 非公開 | 250W | ||
外部電源 | 8ピン×2 | 8ピン+6ピン | 8ピン×2 | 8ピン+6ピン |
これだけのスペックを詰め込んでいるため、TDPは500Wと前代未聞の熱量になった。R9 295X2の水冷システムは、2スロット厚のカードでこの巨大な熱量を確実に冷却するための仕掛けなのだ。
この水冷ユニットはCPUの簡易水冷でおなじみのAsetekが手がけたものだが、デュアルGPU構成に合わせ、2つの水枕を直列につないだ特別製となっている。カード中央部分に空冷ファンがあるが、これはGPU以外のチップ(VRやメモリーなど)を冷やすためのものだ。
最後に解像度の制約について触れておきたい。現在入手できる4K液晶にリフレッシュレート60Hzで出力するには、DisplayPortケーブルと、液晶側で「DP1.2」設定の有効化という2つの条件があるが、R9 295X2でこの条件を満たすと画面解像度は4K(3840×2160ドット)に固定される。
ただしこれはR9 295X2の制約というよりは、RadeonのCrossFireX環境とドライバーの組み合わせによる制約といえる。ただ、近年のゲームの画面解像度は、デスクトップの解像度設定と同じ選択肢から選ばれる。
つまり4K液晶でDP1.2設定(いわゆるMSTモード有効)にすると、実質上4K専用ビデオカードとなるのだ。DP1.2を無効化すれば普通にフルHD@60Hz出力等も可能になるので、状況に応じて変更するとよいだろう(もちろんDVIを使うという手もある)。

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