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INSIDE the CLOUD

クラウドでタクシーに革新のうねりを

2014年03月24日 07時00分更新

文● アスキークラウド編集部

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タクシー会社によるタクシー業界のIT

 日本交通はすでに、無線システムのクラウド化に着手している。同社の無線システムは、車載用の専用端末とバックエンドのシステムで構成されるが、そのバックエンドシステムをアジュールに移行。車載端末もタブレットベースの端末に切り替え、4G LTEでクラウドにつなぎ、「IP無線配車」システムを実現するわけだ。
 この新システムは、今年6月をメドに全国のタクシー会社への提供が開始される。さらに野口氏は、バックオフィス系システムも年内にクラウド化し、外販の可能性も探る。
 こうした同社の動きには、「タクシー会社によるタクシー会社のためのIT」を実現・提供するコンセプトがある。背後には、タクシー特化の優れたITによって、自社だけでなく業界全体の利益も併せて追求する考えがあるようだ。
 タクシー専用のドライブレコーダーをベンチャー企業セレボとの協業で開発・製造し、相場の半額近い価格で提供しているのも、その考えによるものだ。
 日交データサービスは東京ハイヤー・タクシー協会の配車アプリ「スマホ de タッくん」の開発も担った。日本交通の全国版アプリを応用した仕組みで、こちらも基盤はアジュール。日本交通の他、五つのタクシー無線グループが加盟し、配車エリアは日本交通版と同じく東京23区と三鷹市、武蔵野市。配車対象車両数は約9200台に上る。
 配車アプリで先行する日本交通にとって、この取り組みに協力する利は薄いだろう。個の利の追求よりも、業界の発展を優先させた格好だ。また、配車アプリの選択肢の拡大により、「スマートデバイスでタクシーを呼ぶ習慣」の一層の定着と広がりにも期待を寄せる。 ITのパワーをタクシーのサービスとビジネス、そして業界の変革につなげる――。日本交通が繰り出すITには今後も目が離せそうにない。

「スマホ de タッくん」発表会場にて。左から3人目が日本交通の川鍋社長

「スマホ de タッくん」発表会場にて。左から3人目が日本交通の川鍋社長

(本記事はアスキークラウド2014年4月号に掲載されたものです。本文中の数字や肩書などは本誌掲載時のものです)

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