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T教授の「戦略的衝動買い」 第275回

2つの機構を搭載するアナデジ腕時計「DUAL II」を衝動買い!

2013年12月25日 12時00分更新

文● T教授、撮影● T教授

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月間カレンダーを表示する仕組みが面白い

周囲にリューズが3個あるように見えるのも特徴の1つだ。左右のムーブメントは機械的に何の関係もなく、独自に動作しているので意識的に合わせない限り、秒のレベルでは合致しない。左はクォーツ、右は手巻き付きのオートマチックだ。それぞれ誤差範囲が異なる。しかし、同時に両方共止まることはまずないので、フェイルセイフ腕時計でもある。右側の4層ディスクムーブメントは現在、20日(金)10時33分20秒を表示している

周囲にリューズが3個あるように見えるのも特徴の1つだ。左右のムーブメントは機械的に何の関係もなく、独自に動作しているので意識的に合わせない限り、秒のレベルでは合致しない。左はクォーツ、右は手巻き付きのオートマチックだ。それぞれ誤差範囲が異なる。しかし、同時に両方共止まることはまずないので、フェイルセイフ腕時計でもある。右側の4層ディスクムーブメントは現在、20日(金)10時33分20秒を表示している

 全体的な構造と機能を簡単に説明してみたい。まず、ちょっと大型の直径40mm程の文字盤の中央左右に2つのムーブメントが配置されている。

 向かって左側はクォーツ3針式の直径12~13mmのムーブメント、右側は21石のオートマチック(手巻つき)の4層ディスク(円盤)積層型アナデジムーブメントだ。

 まったくメカ的には関連性のない2つのムーブメントが並んでいるだけなので、それぞれに時刻合わせのためのリューズが左右に用意されている。

 右側の4層のディスクムーブメントは下層から日/時間/分、そして最上層が数字の代わりに小さなドット穴だけが開けられた“秒針”が重なっており、これが回転する仕組みだ。

 今日の“日”だけは中央を水平に横切る白い直線の右端の窓を見る。ちょっと暗いが現在、20日を示している。時/分/秒は中央寄りに3層のディスクが列んで表示されるのを左から順番に続けて読むだけだ。

 本ページ冒頭の写真の場合なら10時33分20秒近辺だろう。秒のディスクだけは針先に代わる小さな穴の相対位置で大凡の秒を想像するしかない。

2時の位置にあるのは、月間カレンダーを手操作で合わすための第三のリューズだ

2時の位置にあるのは、月間カレンダーを手操作で合わすための第三のリューズだ

第三のリューズを指先で回転させて、最外周の日付リングを回転させ、曜日と日付の関係を合わせれば“1ヵ月カレンダー”として重宝する(^_^;)

第三のリューズを指先で回転させて、最外周の日付リングを回転させ、曜日と日付の関係を合わせれば“1ヵ月カレンダー”として重宝する(^_^;)

 DUAL IIの面白いのは、これらメカニズムで自動的に現在時刻を表示する仕組みだけではなく、人間の手で月間カレンダーをセットできるユニークな仕組みだ。

 右側に飛び出した機械式ムーブメントのリューズの少し上、2時の位置にあるもう1つのリューズがその役目を果たす。

 このリューズを指先で回すと、文字盤の最外周に書かれている数字リングが回転する。このリューズを必要に応じて毎月1回調整する(1つ内周に書かれた約ひと月分の日曜~土曜までの曜日の繰り返しとマッチさせる)ことで、万年カレンダーとして便利に使うことができる。

 最外周部の「20日」の1つ内周側の記述を見れば「F」なので、今日は金曜日だということが、普通の人なら理解できる。比較的複雑で高価なメカニズムを使い、トラブルの原因となるくらいなら、生活の便利さを実現できる分かりやすいマニュアル設定もありだろう。

背面を見れば2つのムーブメントが無関係であることが明快だ。4層ディスクのデジアナ腕時計は手巻き付きのオートマチックで、ブルーカラーのスケルトンバックだ。小さなローター(分銅)なので可哀想な感じもするが……

背面を見れば2つのムーブメントが無関係であることが明快だ。4層ディスクのデジアナ腕時計は手巻き付きのオートマチックで、ブルーカラーのスケルトンバックだ。小さなローター(分銅)なので可哀想な感じもするが……

 2つのムーブメントのうち、ディスク・アナデジ方式のムーブメントは背面がブルーカラーガラスで作られているので、内部のオートマチックメカニズムを楽しむこともできる。ムーブメントはいずれも日常生活防水5気圧に対応している。

装着性がいいカーフ・ヌバックスキンのベルト
組み合わせて持つガジェットには気を使いそう……

 筆者がこのDUAL IIを気に入った理由は、これらのメカニズムと、まったく難解なメカを忘れた簡単な手作業による月間カレンダー設定のコンセプト、そして最後にこのモデルだけの柔らかいカーフ・ヌバックスキンのベルトだ。

ヌバックレザーのベルトはベゼルのところが一番分厚く……尾錠の方向に向かってだんだん薄くなっていく

ヌバックレザーのベルトはベゼルのところが一番分厚く……尾錠の方向に向かってだんだん薄くなっていく

ヌバックレザーベルトの背面は耐汗処理がされている

ヌバックレザーベルトの背面は耐汗処理がされている

 ベゼル近くは比較的分厚く、尾錠に向かって行くほど徐々に薄く加工されたベルトは装着性も良く、背面は耐汗処理もされている。

 腕時計世界では、ただ単に2つのムーブメントだけを並べた腕時計は多いが、DUAL IIは、トータルなデザイン性と、毎月1回の手作業で万年カレンダーをユーザー自身が調整する愛嬌あるギミックで、極めてユニークな腕時計に仕上げられている。

普通のデジアナ腕時計と違って、組み合わせるコンビネーションはなかなか難しいかもしれない

普通のデジアナ腕時計と違って、組み合わせるコンビネーションはなかなか難しいかもしれない

 クラシカルな外観は、メタリックな最新のスマホなどとのコンビネーションはちょっと違和感があるかもしれない。少しエイジドでセンスのいい携帯電話や高級でナチュラルな文房具などとの組み合わせがベストだろう。

■関連サイト

T教授

今回の衝動買い

アイテム:DUAL II モデルWV0061XC

価格:ビックカメラ なんば店にて2万2700円で購入


T教授

 日本IBMから某国立大芸術学部教授になるも、1年で迷走開始。今はプロのマルチ・パートタイマーで、衝動買いの達人。
 T教授も関わるhttp://www.facebook.com/KOROBOCLで文具活用による「他力創発」を実験中。

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