このページの本文へ

Windows Server 2012 R2とAzureを追え 第7回

56kbpsモデムから業界の変化を振り返り、次の変革を占う

「クラウドOS」推しのマイクロソフトを選ぶ3つの理由

2013年11月22日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

樋口社長の基調講演の直後、「It's time. クラウドOS時代への変革」と題したゼネラルセッションには、米マイクロソフト コーポレーション コーポレートバイスプレジデント サーバー&ツール マーケティンググループ 沼本健氏が登壇した。

この10~15年の変化を捉え直してみる

 登壇した沼本氏はまず同社が進めるクラウドOSビジョンについて説明を行なった。クラウドOSビジョンとは、単一の製品を表わすのではなく、Windows Server、Windows Azure、System Center、Visual Studioなどの開発チームが共有するビジョンを指すという。モビリティ、アプリケーション、ビッグデータ、クラウドなどのメガトレンドに対して回答、包括的なソリューションを指す。

米マイクロソフト コーポレーション コーポレートバイスプレジデント サーバー&ツール マーケティンググループ 沼本健氏

 沼本氏によると、クラウドOSビジョンの背景となるモビリティ、アプリケーション、ビッグデータ、クラウドなどのメガトレンドは、単なる「進化」ではなく、「変革」と呼べる大きな波だと述べる。

 沼本氏は、この10年で業界や市場、世界がどれだけ変わったか、過去を振り返る。たとえば、Fortuneのテクノロジー企業トップテンを2000年と2013年で比べたとき、「残っているのは、マイクロソフト含めてわずか3社」だという。また、沼本氏が引っ越しをしたとき、自宅の倉庫から子供がUSロボティックスの56kモデムを取り出してきた話を例に挙げ、アナログモデムのネゴシエーションを聞きながら、「1999年当時、99%のサブスクライバーはこれでインターネットをしていた。この細い細いストローを使って、必死にインターネット上のデータを吸っていた。これがわずか12~13年前の状況」(沼本氏)と振り返った。

変化の速さを物語る15年前の56kbpsモデム

 大きな変化を遂げたこの10~15年を振り替った後、沼本氏はクラウドを含むメガトレンドは、今後10年先を変える大きな地殻変動になると説明。このクラウド時代で成功を収めていくためのITパートナーとして、マイクロソフトを選んでもらいたいとアピールした。

マイクロソフトを選ぶ3つの差別化ポイントとは?

 では、マイクロソフトの差別化はどこか? まず挙げたのが、「エンタープライズグレードのプラットフォーム」という点だ。沼本氏は、認証やセキュリティ、コンプライアンスなど多くの面でオンプレミスの実績があるほか、規模の経済を還元すべく多くの自社クラウドサービスを運用している点でも高い実績を誇っているという。「マイクロソフトは1日500億分のSkypeコールをハンドリングしており、それをAzureなどが支えている。お客様にはこれらのスケールメリットを還元できる」(沼本氏)。しかも、SkypeやOffice 365などさまざまなクラウドサービスで得たノウハウを、逆にオンプレミス用のアプリケーションにフィードバックできるのも強みだという。

 また、「ハイブリッドクラウドのシナリオ」を持っている点も大きいという。沼本氏は、「マイクロソフトは、今後お客様はオンプレミス、プライベートクラウド、パブリッククラウドの3つを長期間ハイブリッドで利用する可能性が高いと考えている。そのため、これらを有機的に、シームレスに融合させていくことが重要」と語る。この3つを一貫して提供しているのが、マイクロソフトだという。オンプレミスの仮想マシンをWindows Azureに移したり、シングルサインオンでクラウドとオンプレミスの両者をまたいで使うことが可能だという。「今後、お客様はどんどんクラウドを使うことになる。しかし、アセットはオンプレミスにある。であれば、両者をシームレスに使える必要がある」(沼本氏)。

 さらに、「ユーザー中心のアプローチ」も特徴で、慣れ親しんでいるSQL Serverや10億人のユーザーが存在するExcelなどをクラウドでも利用できるという。「既存のナレッジ、ツールをそのままクラウド時代に引き継いでもらえる」(沼本氏)。

ユーザー中心のアプローチの例

 こうした3つの特徴を披露すべく、再びエバンジェリストの西脇資哲氏が登壇し、SQL ServerやPowerBI for Officeなどを利用したビッグデータの活用やWindows Intuneによるデバイス管理などのソリューションを披露。その他、パートナー施策としてWindows Azureのサービスを展開する富士通や、クラウドや専用サーバーなどでWindows Server 2012 R2を採用したさくらインターネットのビデオを紹介した。

 講演の最後、沼本氏は改めて国内データセンターにおけるWindows Azureの開始についてアナウンス。「単にデータセンターを作るだけではない。リージョンとして、日本国内でDRやデータの冗長化が完結できるようにしている。設立から27年間以来、今回のWindows Azureのスタートも、日本に深くコミットメントしてきた証しだとお考えいただきたい」とコメントし、講演を締めた。

■関連サイト

カテゴリートップへ

この連載の記事