NTTドコモは10月4日に、ネットワーク戦略/サービス戦略についての記者会見を開催。取締役常務執行役員の徳広清志氏、常務執行役員の阿佐美弘恭氏によって説明が行なわれた。
年内には山手線全駅が
1.7GHz帯での150Mbpsエリアに
まず徳広氏が、同社のLTE Xiネットワーク戦略について説明。3G網にも使用している2GHzと800MHzの周波数帯を基本とした「広さ」、東名阪では1.7GHz、全国的には1.5GHzを使用した新しい周波数帯の拡大による「速さ」を実現するとし、この4つの周波数帯を「クアッドバンドLTE」と説明。これらを効率的に利用することで、ネットワークの「快適さ」を実現できるとした(なお、iPhone 5s/5cは1.5GHz帯に対応していない)。
さらに、今年9月20日から東名阪を中心にサービスを開始している1.7GHz帯での150Mbps対応の基地局については(iPhone 5s/5cにおいては受信時最大100Mbpsを実現とのこと)、今年中には山手線全駅をエリア化するなど、順次拡大していくかまえだ。
また、屋内施設でも快適なLTE環境を実現するべく、主要な大規模施設には屋内専用のXi基地局でエリア化を実施するほか、移動基地局車でイベント時や災害時にも通信が確保できることもアピールしていた。
iPhoneでもdメニューとdマーケットを推進
年内でAndroidとiPhoneのサービスをほぼ同等に
続いて阿佐美氏から、iPhoneにおけるドコモサービス対応状況について説明が行われた。
10月1日からドコモでのspモードメールが提供を開始したことから話を始めた阿佐美氏は、「これからが一番重要なところかと考えている」として、ドコモが力を入れるdメニューとdマーケットについて触れ、iPhoneでもぜひ利用してほしいと力を込めた。
ドコモは、自社で販売するAndoid端末にはdメニュー/dマーケットのアイコンをホーム画面に設置した状態で提供しているが、iPhoneに関しては、購入したユーザーから了解を得た上で、店頭のオペレーションでアイコンを設置することを推進。これにより、iPhoneユーザーでもdメニュー/dマーケットを使いやすくなるとの考えだ。
一方、「iPhoneは非常に人気のある端末」とした上で、「弊社としては、お客さまの手元に届くことを優先して取り組んだ。サービス面が後追いになってしまったということは申し訳ない」と阿佐美氏は説明。その他のサービスもiPhoneに順次対応させていき、「年内でAndroid端末とiPhoneのサービスをほぼ同等にしたい」とコメントした。
ネットワーク構築は「遅くなりそうなユーザー」が基準
来春はドコモが巻き返すのか?
質疑応答では、iPhone販売にドコモが参入し、3キャリア同士で比較されることが増えた背景もあるのか、ネットワークの差についての質問が目立っていた。
他キャリアがプラチナバンドとして積極的にアピールしている800MHz帯に関して、ドコモは積極的にエリアを広げていないのではないのか? という問いに対しては、「800MHz帯の実人口カバー率は他社に比べると低く見えるかもしれないが、800MHzと2GHzの合わせ技でエリアを作っていくのがドコモのスタンス」と徳広氏が回答。郊外は800MHz帯で、都市部は2GHzでと、あくまでも2つのバンドを使い分けてカバーしていくようだ。
またネットワーク構築について、「通信速度が速いに越したことはないが、社内で基準を設けた基準よりもスピードが下回りそうだというときに、新たな車線を準備し、広げていくアプローチ」と説明。スピードが遅くなりそうなユーザーをクリアーするのがドコモのポリシーだという。
その一方で、他キャリアとのスピード勝負を諦めたわけでもないようだ。「来春時点では他社よりも明らかに速いと実感できるような回線になるのか」という質問に対して、徳広氏は「そのように今年度は基地局倍増を頑張って、来春にはお客さまにそう感じていただけるよう、鋭意努力していく」と答え、「クアッドバンドLTE」による通信速度に自信を見せることも忘れていなかった。
初出時、登壇者のお名前が間違っておりました。修正するとともにお詫び申し上げます。(10/7 20:15)