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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情第216回

SATA3.2の仕様策定で見えてきたSATA ExpressとM.2

2013年08月19日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/

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SATA Expressでは高速化のために
デバイス側にコントローラーを配置

 問題は、PCI Expressの上にどうやってSerial ATAのプロトコルを通すか、というより、どうやってPCI Expressデバイスを通常のストレージと認識させるかだ。

 これに関してはおもしろい方法で実装される。従来のHDDやSSDはAHCIドライバーからAHCI HBAを経由してSATAで通信するのに対し、SATA ExpressのPCI Expressでは、デバイス側にAHCIもしくはNVMeのコントローラーを配し、AHCIドライバーやNVMeドライバーが直接通信する。

ソフトウェア的に見たSATA Expressの構造。NVMeは、NVM ExpressというPCI Expressベースで高速なSSDを搭載するための規格で、サーバーなどで利用されている

 これならばSATAのプロトコルを通す必要はないため無駄なオーバーヘッドがない。AHCIの機能がすべて使えるので既存のOSやドライバー、アプリケーション類に変更は不要である。

 欠点としては、PCI ExpressのSSDデバイス側にAHCIやNVMeのコントローラーを改めて追加する必要があることで、これが若干のコスト増の要因になるかもしれない。とはいえ、当面はSATAを使うより高速に接続できるという点で多少価格面でのプレミアを付けられるし、将来的には量産効果でこの分を吸収できるため、それほど大きな問題とはならないだろう。

 むしろ問題になるのは、チップセット側のPCI Expressレーンの数になるだろう。SATA Expressの場合、インターフェースは以下のようになっている。

SATA 3.2が要求するインターフェース
必須 PCI Express Gen2 SATA Gen1i/2i
オプション PCI Express Gen3 SATA Gen3i

 SATA Gen1i/2i/3iというのはSATAの仕様書における表記で、内蔵用(eSATAではない)のSATA 1.5G/3G/6Gbpsをそれぞれ指している。SATAの方はいいとして、問題はPCI Expressの方である。というのはGen2 x1だと500MB/秒でSATA 6Gbpsより遅くなってしまうからで、現実問題として当面はGen2 x2の構成が一般的になるかと思われる。

 ただ最近のチップセットはPCIを廃した関係で、すべてのデバイスがPCI Expressで接続されることになるため、チップセットにI/O用のPCI Expressレーンが余ってるとは言いがたく、多数のSATA ExpressデバイスをGen2 x2で接続するのは無理がある。

 また将来的にはPCI Express Gen3をサポートしたいと思われるが、このためにはCPUとチップセット間の接続もPCI Express Gen3以上にしないと帯域的にマッチしない。これらのことから、ここ1~2年の範囲で言えば、SATA Expressデバイスのサポートは1台か多くて2台に限られるであろう。

SATA Expressの
コネクターの形状

ホスト側のSATA Expressコネクターを上と下から見た図。SATA専用、PCI Express専用、SATA/PCI Express兼用が混在している。信号線はS1~S14までで、残りのP1~P15は電源用、E7~E9はPCI Express専用のクロック信号である

 SATA Expressでは当然ながらコネクターの構造が変わる。上図がホスト側レセプタクル(マザーボード上に実装されるコネクター)、下図がデバイス側のコネクターとなる。

デバイス側のSATA Expressコネクター。(a)デバイスプラグコネクター、(b)デバイスケーブルレセプタクルコネクター、(c)ホストレセプタクルコネクター、(d)ホストホットプラグコネクター、(e)ホストケーブルレセプタクルコネクター

 デバイス側のコネクターが色々あるのは、ノートPCのように基板に直結するタイプと、ケーブルで繋ぐ従来の方式、さらにホットプラグ(電源オンの状態でSATA Expressデバイスを着脱)にも対応するためである。どのコネクターとどのレセプタクルが組み合わされるか、という一覧はSATA-IOのウェブサイトにあるので、興味ある方は確認していただきたい。

 ちなみに仕様上は、SATA Expressを利用してPCI Expressデバイスを作ることも可能ではあるが、現実問題としてそうしたデバイスがどの程度出てくるのかは現状ではわからない。

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