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ついにグーグルがテレビ業界へ侵攻開始

2013年07月25日 17時22分更新

寺林 暖(Dan Terabayashi)/アスキークラウド編集部

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7月24日、グーグルがテレビ業界への侵攻を開始した。タブレット端末Nexus7の新モデルと併せて発表した「Chromecast」のリリースだ。

 ChromecastはテレビのHDMIポートに接続するスティック型の端末。スマホやタブレット等で視聴しているYouTubeやネットフリックスのような動画サービスのコンテンツほか、ウェブブラウザー(Chrome)のサイト画面などを無線LAN経由で受信し、テレビの大画面に映し出す。スマホやタブレットはリモコン代わりとなる。

グーグルのスティック型端末「Chromecast」。すでに米国ではアマゾンやベストバイなどのオンラインストアで発売開始

 すでに日本ではNTTドコモの「SmartTV dstick」をはじめ、通信キャリア事業者などが同種の端末を出しているが、グーグル自らがスティック型端末を出してきたインパクトは大きい。

 そもそも、通信キャリア事業者がスティック型端末を出す理由のひとつは、「エコシステム」の構築だ。配信サイトで購入してもらった動画コンテンツ他を、ユーザーのライフスタイルに合わせて最適の環境で視聴できるよう、スマホ、タブレットに加えてテレビでも視聴できるようにする。

 この、スマホ、タブレット、テレビという大小様々なスクリーン=「マルチスクリーン」にかねてから注目していたのが当のグーグルだ。2012年8月に同社は、メディアに接する時間の9割(4.4時間)が、スマホやタブレット、ノートPC、そしてテレビの4スクリーンで占めるという調査結果を出していた。この4スクリーンへの影響力が強まれば強まるほど、コンテンツにしても、広告にしても露出機会が高まる。コンテンツや広告をベースとした「エコシステム」が強まる。

グーグルの資料「The New Multi-screen World: Understanding Cross-platform Consumer Behavior」より

 この「マルチスクリーン」制覇で最後の牙城となっていたのが「テレビ」だ。スマートテレビのプラットフォームとしてリリースした「グーグルTV」はCBSやABCなど米国の大手放送ネットワークとの交渉が難航していた。スマートテレビ本体そのもののプラットフォームを整えるより、すでに一般家庭に置かれているテレビをスティック経由で「スマート化」した方が、テレビのスクリーンも「ジャック」しやすい——Chromecastリリースの背景には、そんなグーグルの意図が伺える。

 しかも、グーグルはChromecastのリリースにあたり、スマホやタブレットのアプリやコンテンツをテレビ画面に「キャスト」できる開発キット「Google Cast SDK」を提供。サードパーティーの開発者を巻き込むことでエコシステムの裾野を広げる考えだ。

 Chromecastの価格は35ドル(約3500円)。一概には比較できないが、ドコモの「SmartTV dstick」(ドコモオンラインショップで6930円)より安い。米国ではすでに発売開始。米国以外の国でも早期の展開予定が見込まれている。

 新機能を搭載した新型「スマートテレビ」をその都度販売し、買い換え需要に期待する家電メーカー。テレビはテレビ放送を流すもの、という前提のもとに番組を流す放送局。「スマートテレビ」需要を薄め、「テレビ放送」以外のコンテンツをテレビのモニター画面に映すChromecastは、従来からの「前提」でエコシステムを築いてきたテレビ業界の不都合な真実を映し出す。

 グーグルはなぜテレビ業界を狙うのか? なぜ日本のテレビ業界が狙われるのか? 好評発売中の「アスキークラウド 2013年9月号(創刊号)の特集「グーグルも狙うテレビ業界」では日本のテレビ業界のエコシステムを徹底解説。象徴的な事件として起きたビエラCM拒否問題の真相、テレビ業界の未来について取り上げる。

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