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ビエラCM拒否で見えたパナのテレビ戦略

2013年07月23日 16時01分更新

寺林 暖(Dan Terabayashi)/アスキークラウド編集部

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テレビ産業は、家電メーカーが広告主として民放を支え、放送局がふんだんに使える制作費から良質なコンテンツを生みだして成長した。7月7日に駆け巡ったニュース――パナソニックのプラズマ/液晶テレビ「スマートビエラ」のテレビCMを民放各局が拒否――は、七夕の夜にふさわしくない破局劇だ。

 ネットを騒がせたCM拒否の表向きの原因は、スマートビエラの「マイホーム」と呼ばれるスマートテレビ機能。

パナソニックのビエラの各種機能を紹介する「スマートビエラ 2013」サイト

 テレビの電源を入れると、放送中の番組以外に、天気予報や個人別のスケジュール、YouTubeなど、インターネットの動画サービスへのリンクが表示される。視聴スタイルを刷新するスマートテレビ機能が、番組とネットの情報を視聴者に混同させてはならないとするARIB(一般社団法人電波産業会)のガイドラインに抵触したと見られている。

 CM拒否の真相は何か? 24日発売のアスキークラウド創刊号では、多くの業界関係者への取材から、パナソニックと民放各局のすれ違いの真相に迫った。そこで明らかになったのは、CM拒否などという小さな問題が吹き飛ぶテレビ業界の新しい流れだ。

  テレビ業界は、放送局、メーカー、広告主、広告代理店そして視聴者による「エコシステム」を形成している。

 テレビは、一般世帯への普及率99.3%(内閣府:消費動向調査)のテレビ受像器を通して、多くの視聴者の目に触れるマスメディア。巨大なメディアパワーを背景に、放送局は代理店経由で番組の合間の広告枠を販売し、収益を得る。収益の多くは番組制作費に回され、さらに多くの視聴者を引きつけ、テレビ受像器が売れる。

テレビ業界のエコシステムの変遷。アスキークラウド創刊号より

 では、なぜパナソニックはエコシステムの循環を破壊しかねないスマートビエラを発売し、ARIBの運用規定に抵触しかねないリスクを冒したのか?

 理由は、グーグルやアップルまでテレビ市場に目を向ける「クラウド化」だ。スマートフォンやソーシャルメディアが普及し、視聴スタイルが変わり、放送局やメーカーは変わらざるを得ない。グローバル市場でテレビを売るパナソニックは放送局よりも先に変わらざるを得なかった。

  しかし、iTunesが音楽業界に君臨するように、クラウド的な何かは、やがて放送局の既存ビジネスを浸食するだろう。

 CM拒否騒動の先に見えた未来は、テレビが従来の「テレビ放送を流すだけのもの」とは違った形でリビングルームの王者として君臨する姿だった。パナソニックが踏んだテレビ業界の「虎の尾」は、そういう種類のものだった。

 ビエラCM拒否の本当の問題とは何か? テレビ業界を揺るがす「新しいテレビの姿」とは何か? 7/24発売のアスキークラウド創刊号でぜひ確かめてほしい。

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