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前田知洋の“タネも仕掛けもあるデザインハック” 第22回

コピペを感じさせない、人を動かすメールとは?

2013年08月02日 09時00分更新

文● 前田知洋

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 マジック・サークルは英国王室のチャールズ皇太子もメンバーの100年の歴史があるクラブ。ただ、マジックのクラブなのでコッソリと運営されていて、建物の表札も暗号のような記号が記載されているだけです。

暗号のような表札、英国マジック・サークルの玄関

 そんなクラブから先日、一通の手紙を受け取りました。隠さずに書けば、いわゆる「会費が支払われてませんよ!」という督促状。しかし、これがまたロイヤル・メール発祥の英国らしく、じつに素晴らしい表現と文の流れです。「督促状」で感動したのは初めての経験です。ある意味、ビジネスメールの理想形といってもいいかもしれません。

 ビジネスメールですから、すぐに用件からスタートします。

「○○様 財務担当から連絡があり、どうやら本年度の会費が支払われていないように見受けられます。おそらくですが、そちらでウッカリお忘れかもしれませんし、こちら側のシステムのミスなのかもしれません。もし、すでにお支払いだったり、近々お支払いのつもりであったなら、こんなお知らせをしたことをお詫び申し上げます」

 筆者の場合は、忙しくて手続きを忘れていました。読み始めて「あっ、忘れてた!」と気がつくと同時に、あまりに長文の督促状で、文の下には会長の署名も入っています。「もしかしたら、退会させられるのでは…」とちょっとだけビビりました。

 ところが、読み始めると低姿勢というか、紳士的というか、支払いを忘れたこちらが悪いのに、手紙の冒頭からいきなり謝罪で始まっています。さらに、いろいろな可能性にも言及。「受取手が多忙であるのかも…」「大量のスパムやDMに埋もれているのかも…」「請求はわかっているけど、手続きを忘れていたのかも…」「こちらのシステムの問題かも…」と、現代社会における、起こりがちなミスがあることにも触れています。

現代社会は複雑なシステムの中で動いている

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