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ニコニコ超会議はなぜ赤字でも許されるのか

2013年06月27日 07時00分更新

文● 盛田 諒(Ryo Morita)/アスキークラウド編集部

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 「ニコニコ超会議2の赤字は8000万円。前回より3億円近く減りました」

 赤字額が表示されたディスプレイを背景に、ニコニコ顔で話をしているのは、ニコニコ動画を運営するドワンゴ取締役の夏野剛氏と、会長の川上量生氏。

 千葉・幕張メッセを使った巨大イベント事業。その赤字額にまつわる二人のコメントは、いつもどおり気楽すぎるものだった。

 「(赤字が)1億円に届かなかったんですよね」
 「2億円くらいになってると思ってたんだけどね」
 「次回も黒字にしない。『金返せ』とか言われそうで」
 「なので、“ぎりぎり赤字”にしようと思ってます!」

 ニコニコ超会議2は今年4月に開催されたイベントだ。

 入場料1500円の有料イベントにもかかわらず、入場者数は10万人。ネットでの観覧者は500万人を超えた。赤字が減ったのは、「ご協賛をたくさんいただいたこと」(夏野氏)が大きく、経費としては逆に膨らんでいるという。

 いくらキャッシュフローベースの赤字とはいえ、なぜそんなことが許されるのか。それは超会議に会員を増やし、会員離れを防ぐという両面のねらいがあるからだ。

 今月22日、ニコニコ動画では月額525円の有料会員が200万人を超えた。会員数が順調に増えている理由は、退会者が少ないためだ。

 有料会員のメインは10~20代。彼らが年月を経てもニコニコを卒業せず、ニコ厨と呼ばれるヘビーユーザーでありつづけるため、ずっと彼らを相手にサービスを続けられる。ニコニコ超会議は会員たちを楽しませ、大切な友だちを作ってもらうためにある。

 そして重要なことに、会員たちは黒字が嫌いだ。

 日本のインターネットには、金儲けが生理的に嫌われる"嫌儲"という独特の性質がある。ドワンゴはそれをよく理解し、イベントでもわざと赤字をねらう。月額課金で稼げる120億円の年商も、動画をアップした作者たちに「奨励金」として流してしまっている。

有料会員200万人記念のキャンペーンも実施する

 それでビジネスとして成立するのはなぜか。

 それは、会員たちが半ば勝手に作り出す流行が、企業を巻き込んだ産業システム(エコシステム)になっているからだ。

 ニコニコの中ではしょっちゅう新しい流行が生まれている。初音ミクのようなヒット商品があらわれたり、いきなりマイナーな商品が売れたりすることがある。ちょっとした呼びかけで数百人、数千人が集まる“フラッシュモブ”のような現象も起きやすい。

 そこで生まれる流行をネタにビジネスをする企業が増えていく。初音ミクは100億円市場と言われ、その市場規模は年々拡大している。結果、ドワンゴの外には「ニコニコがないと困る」利害関係者が増えていく。彼らはニコニコ動画の維持・継続を望むことになる。

 企業の売上に貢献するとあれば、メディアとしての商品価値は上がっていく。テレビ局にとってのスポンサーとはまた違う形で、ドワンゴは企業の支持を獲得しているのだ。

 ニコニコ超会議はこれからも赤字を出しつづけるだろう。テレビ局がネット事業を黒字化しようともがいている一方で。

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