海外旅行をすると目的地の空港でたまに目にする光景がある。機内預け手荷物(トランク)を受け取ろうと「BAGGAGE」のサインが光るターンテーブルに並ぶが、いつまで経っても手荷物が出てこないアクシデントだ。通称「ロストバゲッジ」。ひとりターンテーブル前に立ち尽くしていると、スタッフが駆け寄っていき、申請カウンターに導かれていくので、「ああ、ロストバゲッジかぁ~」とはたから見ていても分かる。
筆者自身はロストバゲッジしたことはないが、親父がアメリカで1回、奥さんが独身のときにイギリスで1回、いずれも10年以上前の話だがトランクが出てこなかったという。最近では4年前ほどに、義理の兄がベルギーでロストバゲッジして、手荷物が届くまで2日かかっていた。搭乗客全員の割合からすれば、預け手荷物のほとんどが正しく目的地まで届くが、確実にターンテーブルに出てくる保証はないのだ。
しかし限りなくロストバゲッジをゼロにしようと努力する企業がある。尾翼の赤い鶴丸が誇らしげな日本航空(以下、JAL)だ。JALはロストバゲッジをゼロにするだけでなく、預けた手荷物の破損防止にも取り組んでいる。
もちろん青い会社だって同様の取り組みをしている。しかし旅客の大切な荷物を預かる現場を公開してくれ、あまつさえ国土交通省の面倒くさい手続きを経て認可を取らないと(これホントに大変)立ち入れないエリアで撮影ができたのは、ほかならぬJALの太っ腹な計らいだ。世の中のしくみをよーく理解している大人の読者は、筆者が何を言わんとしているかを察して、手荷物のバックボーンを楽しんでほしい。
なお取材した順番は、手荷物の流れの時系列とはバラバラだったので、ここでは流れを追って再構成した。そのため写真に写っているお天道様や時計の時刻がバラバラなのはあらかじめご了承してくれ。いえ、してください。