疑問7 最近よく聞く「DSD」って何? リニアPCMよりいいの?
回答 デジタルながらアナログ記録に近い記録ができる方式
DSDとは、「Direct Stream Digital」の略で、元々はスーパーオーディオCDに採用されていたデジタル音声記録技術。CDで採用され、現在も主流と言えるデジタル音声記録技術のリニアPCMは、縦軸に量子化ビット数、横軸にサンプリング周波数としたグラフにアナログ波形を写し取るような仕組みで符号化を行なう。
ハイレゾになるとグラフが細かくなるので、元のアナログ波形に限りなく近くはなるが、細かく見ればやはり階段状のデータのままではある。
一方、DSDの場合、量子化ビット数は1bitだけで、サンプリング周波数を2.8MHzにまで高める。しかも、グラフに刻むのではなく、データの粗密で信号を記録する。アナログ波形の高低の変化が大きいほど信号の密度が高く、変化が小さい部分は密度が低くなる。
そして、デジタル記録でありながら、アナログ記録に極めて近い記録ができる方式と言われている。ちなみに、ハードウェア上での再生周波数帯域は100kHzまでカバーする。
高音質ディスクであるスーパーオーディオCDのための記録方式ということもあり、クラシックやジャズなど音質を重視する録音で数多く採用されている。ただし、スーパーオーディオCDは、PC用のドライブでは読み込みができないディスクであり、リッピングしてDSD音源を手に入れられるわけではない。
DSDのハードウェア上の再生周波数帯域に誤りがありました。お詫びして、訂正いたします(2013年3月5日)
疑問8 DSD音源ってどこで手に入るの?
回答 一部の音楽配信サービスで購入可能
DSD記録は録音現場ではそれなりに普及したものの、肝心のスーパーオーディオCDは十分に普及しているとは言い難い状況だ。そんな流れの中で、スーパーオーディオCD用のDSD音源や、新たにDSDで録音した音源をファイルとして配信するサービスがe-onkyo musicやOTOTOYでスタートしている。
一般に普及するCD相当(44.1kHz/16bit)で飽きたらず、ハイレゾ音源を求める理由のひとつに、スタジオでアーティストが実際に聴いている音を自分たちも聴きたいというものがある。現在の録音現場では、CDのための録音でもハイレゾで録音するのが当たり前で、最終的にCDにダウンコンバートされて発売されている。編集やミックスダウンで生じる音質劣化の影響をなくし、品質の高いCDを作るためには当然のことだ。
しかし、仮に96kHz/24bitで制作されているならば、それをそのまま聴きたいという人が出てくるのは当然。DVDオーディオやスーパーオーディオCDではより多くの人が手軽に楽しめないが、音楽配信ならば再生自体はかなり安価で可能。
というわけで、ハイレゾ音楽配信が始まったわけだが、DSD音源はリニアPCMとはまったく異なる方式のため、USB経由で出力するのも難しいし、再生ソフトも限られるなど問題が多かったため、96kHz/24bitや192kHz/24bitに変換されて発売されていた。
これは次回以降でじっくりとテストするが、DSD音源をリニアPCMに変換すると、若干の音質的な違いがある。これでは、音質は優れているとしても「アーティストが録音現場で聴いている音」とは言いにくい。そのため、DSD録音されたものならば、DSDのまま発売してほしいという声が増えてきたのだ。
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