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iPhoneやPCで高音質リスニングを楽しむポータブルアンプのススメ第3回

ポタアンにもバランス端子! 屋外でも最高の音楽を楽しむ!

2014年07月02日 17時00分更新

文● 鳥居一豊

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 iPhoneなどのスマホやPCとポータブルヘッドフォンアンプ(略してポタアン)を組み合わせ、より高音質な音楽鑑賞に挑戦するこの特集。最終回は最近ポタアン業界で話題になっているバランス出力に挑戦する。

 いきなりバランス出力と言っても、単品オーディオにも詳しい人でない限り、まったくついていけない話になってしまうので、まずはバランス出力について解説する。

プラスとマイマスを個別のアンプで処理する
バランス端子のニーズがポタアンに!

ポータブルオーディオ関連イベントでかなり目にする機会が増えている「バランス」の文字(写真はポータブルオーディオフェスティバルにて) ポータブルオーディオ関連イベントでかなり目にする機会が増えている「バランス」の文字(写真はポータブルオーディオフェスティバルにて)

 単品オーディオの世界では、高級モデルを中心としてバランス入出力端子を持つモデルが数多くある。これに相対するのがアンバランス端子。

 バランス入出力を備えるアンプとアンバランス出力のみのアンプの違いは、駆動するアンプの数だ。一般的なアンプのアンバランス端子は、プラスとマイナスで構成されるオーディオ信号をひとつのアンプで増幅するシングルエンド動作を行なう。

 一方のバランス端子は、プラス用とマイナス用のそれぞれを独立したアンプで増幅する。つまり、アンプの数が倍必要になるわけだから、コストも高くなる。このメリットは、2つのアンプを使用することでヘッドフォンの駆動力が向上するところにある。

アンバランス接続のイメージ
アンバランス接続のイメージ
バランス接続のイメージ
バランス接続のイメージ

 さらに付け加えると、一般的なヘッドフォン用のステレオ出力(アンバランス伝送)は、左右の信号とグランド(基準電位)の3本でやりとりされる。グランドは左右で共用なのだ。このため、ごくわずかな量ではあるが、グランドを通じて左右の信号が混ざってしまうクロストークが発生する。

 しかしバランス伝送の場合は、左右の信号をプラス/マイナスで独立したアンプで駆動するので、グランドも独立している。このためクロストークが発生しない。

 このほか、1つの仕事(ヘッドフォンの駆動)を2つのアンプで行なうため、個々のアンプの負担が少なく、より理想的な動作ができる。

 難しい言葉で言うとスルーレートが高まり、入力信号の変化に対する(増幅後の)出力信号の変化の遅れが少なくなり、より忠実度の高い再現が可能になるなど、メリットは数多い。

 大電力を必要とするスピーカーでは、こうしたメリットによる音質の向上は著しいものがあり、コストを度外視した趣味の世界でも幅広く受け入れられている。

 一方でヘッドフォンは駆動のための電力も少なく(アンプの負担がもともと少ない)、信号自体も微弱なため、無理にコストをかけてバランス駆動をするメリットは少なかったのだろう。

 しかし、最近のヘッドフォンの性能の向上や、市場の拡大によりコストを度外視して音質を追求するユーザーの増加などの理由で、バランス伝送を採用したヘッドフォンアンプも登場してきたというわけだ。

 いわば超高級オーディオの世界なので、バランス出力に対応したヘッドフォンアンプの多くは据え置き型だ。しかし、最近になってポタアンにもバランス出力に対応したものが登場してきている。

バランス出力には対応するヘッドフォン/イヤフォンが必要

ソニーの「MDR-1MK2」もケーブルは脱着可能だが、バランス駆動には対応していない
ソニーの「MDR-1MK2」もケーブルは脱着可能だが、バランス駆動には対応していない

 音質にこだわるヘッドフォン好きには歓迎したい事柄なのだが、少々面倒な部分もある。

 まずは、バランス出力は先ほどの説明のとおり、右/左/グランドの3本(アンバランス出力)ではなく、右プラス/右マイナス/左プラス/左マイナスの4本になるので、ヘッドフォンもバランス出力への対応が必要になる。

 バランス出力への対応というのが、すなわち接続用ケーブルの交換だ。最近は高音質追求のためのアクセサリーとして、接続用ケーブルの交換も注目されており、高級機を中心にケーブルの着脱が可能なものが増えている(ケーブル断線などの修理がしやすいメリットもある)。

 とはいえ、一般的なヘッドフォンのほとんどはケーブル交換ができないので、バランス出力への対応は不可。たとえケーブルの交換ができる製品だとしても、ヘッドフォン本体がバランス駆動に対応しているとは限らない。このあたりが普及の足かせになるだろう。

 さらに、接続ケーブルの規格がメーカーによって異なっているのも、普及を阻む原因となっている。据え置き型モデルではアンプ側は「XLR」というコネクターを使うものが多いが、ヘッドフォン側は4ピンコネクターなど各社の独自規格となることが多い。

 ポタアンの場合はアンプ側の接続端子も3.5mmのステレオミニ端子×2や2.5mmのミニミニ端子(4極)などが混在している。これに加えて、ヘッドフォン側の端子もいくつか種類があるので、とあるヘッドフォンととあるバランス出力対応ポタアンを接続するには、事実上そのためだけにしか使えない専用ケーブルを用意する必要があり、互換性が乏しい。

 このあたりは普及が進めば規格が統一されていくとは思うが、今使っているヘッドフォンで手軽に挑戦できないことが多いなど、少々ハードルは高い。当然、そこまでして本当に音質的なメリットがあるのと感じる人も多いだろう。

 前置きが長くなってしまったが、そんなバランス出力による音質の向上をじっくりとチェックしてみたい。

「Astell&Kern AK120II」(左)と「REX-KEB02AK」(右)

 今回紹介するのは、携帯プレーヤーとして、アユートが販売するiriver「Astell&Kern AK120II」(実売価格21万円前後)と、バランス出力対応のポタアンであるラトックシステムの「REX-KEB02AK」(実売価格4万5000円前後)だ。REX-KEB02AKの方は、比較的安価でもあるので、バランス出力に興味がある人にも挑戦しやすいだろう。

(次ページに続く、「Astell&Kern AK120II」)

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