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防災対策で携帯2台持ち 2台目はPHSがオススメなワケ

2013年03月07日 11時00分更新

文● 林 佑樹

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なぜウィルコムだけがつながったのか

 災害時にウィルコムが強いと認知されるようになったのは、前述の体験談だけでなく、技術的な理由もある。総務省平成23年度版情報白書を見てみると、東日本大震災時における通信の最大発信規制値は、ウィルコムは音声とパケットともに0%だった。固定電話ではNTT東日本とKDDIは90%規制、ソフトバンクテレコムは80%規制。移動通信ではNTTドコモが音声90%、パケット30%の規制。auは音声95%、パケット0%、ソフトバンクは音声70%、パケット0%だった。

 電話はつながらないが、データ通信は行えていたこともわかるデータだが、回線のパンクを回避するための処置として規制が実行されていたわけだ。なお、より具体的なデータはこちらに詳しく掲載されている(http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h23/pdf/n0010000.pdf)。

 ウィルコムが規制を行なわずに済んだ技術的な理由として挙げられるのがマイクロセルネットワークとDCA方式が上げられる。一般的なケータイは「マクロセル方式」と言って、1つの基地局で数百m~数kmの広範囲をカバーするシステムだ。

 これに対しウィルコムの「マイクロセル方式」は、数十m~数百mごとに細かく基地局を設置して、通信トラフィックが集中しても分散処理できる。DCA方式は、ダイナミック・チャンネル・アサインという制御方式で、周辺の基地局の通信状況を確認し、つねに快適な通信チャンネルを割り当てるものだ。局所的にトラフィックが集中した場合は、そのエリアに基地局設置を追加することで対応可能といった柔軟な方式だ。このふたつもあって、震災当日でも規制をする必要がなかったのだと考えられる。

1つの基地局で広いエリアをサポートし、トラフィックが集中する携帯電話に対し、PHSは多数の基地局で分散される

いざというときも家族と一言でも会話ができれば安心
そのために複数の音声インフラを用意したい

 「東京都帰宅困難者対策条例」の施行に合わせて、連絡手段を再確認する必要が生まれた。高い確率で音声通話ができる手段を持っておき、離ればなれとなった家族と一言二言でも会話できれば心身ともに安心感が得られる。

 まず事業者側の対応としては、複数の音声通話のインフラを用意することが必須と言える。固定電話はほぼ規制されるであろうが、落ち着いたときには連絡手段として復帰する。従業員の携帯電話もその手段の1つと言える。アスキー・メディアワークスを例に挙げると、さらにイエデンワを用意している。特にイエデンワは単3乾電池4本で動作し、連続通話約10時間、待受は約800時間と長く、予備の乾電池があればすぐに電源を確保できるのが強みだ。

 もちろんPHSも大規模な災害時に必ず使えるとは限らない。しかし、ネットワークのシステムが異なる複数のインフラを持つこと自体が大きな意味合いを持つ。現実の状況でどのインフラに障害が発生し、どこから復旧が進むか予測しがたいからだ。

家族やお子さんに持たせるのにも、PHSなら小さくてバッテリーがよく持つので便利だ

 個人の場合でも、複数のインフラでリスクを分散させておくのが理想的だ。スマートフォンはイベントなどでの回線混雑時に経験したことがある人も多いと思うが、基地局への問い合わせが連続するため、バッテリー消費が早くなる傾向がある。また、データ通信は東日本大震災時も都心部では比較的利用が可能で情報交換に活用されたが、携帯の音声通話は前述のようにかなり厳しい発信規制が行なわれた。そう考えると、データ通信にスマートフォン、音声通話にPHSは優れた組み合わせと言える。

 ウィルコムの端末を見てみると、省電力なPHSの特性を活かし、通話・連続待受時間の長いものが多い。たとえば、HONEY BEE 5は連続通話時間は約10時間だ。スマホとは異なり、ちょっと充電できればすぐに通話できるのもチェックポイントと言える。さらにイエデンワやHONEY BEEなどウィルコムの音声端末はシンプルな操作性なので、電子機器への慣れに関係なく、お年寄りや小さな子供など誰でも電話しやすい。

 複数台の端末を持つとなるとコストが気になるが、料金が安価なのもウィルコムのメリットである。基本プランである「新ウィルコム定額プランS」は月1450円。これだけでウィルコム端末同士の通話は24時間無料である。ここに月980円の「だれとでも定額」を追加すると、10分以内の国内通話は携帯・固定宛問わず月500回まで定額となる。普段から家族や仕事での連絡手段としてウィルコムを利用していれば、通話料金を抑えられるうえに、持ち歩くのを忘れることがなくなり、それでいていざというときの備えにもなるのだ。

 しかも、ウィルコムでは3月31日まで「もう1台無料キャンペーン」を実施している。2~3回線までは月額基本使用料が無料になるというもので家族で導入しやすい。1台目の最安維持費は「新ウィルコム定額プランS/SG」の1450円と「誰とでも定額」の980円を合算した2430円。これで3回線分を維持できる。

「もう1台無料キャンペーン」なら、2台目3台目のPHSを基本使用料無料で利用できる

 最後に。東日本大震災以降、日本では地震の発生頻度が上昇しているだけでなく、他のプレートにも影響を及ぼし、首都圏直下型地震や東海地震が近いとも言われている。地震に限らず、日本は火山活動や台風、水害など、自然災害がいつ起きるかわからない国土である。明日かもしれないし、この記事を読んでいる途中で起きる可能性もある。東京都帰宅困難者対策条例の施行に合わせて、防災キットの確認とともに連絡手段をいま一度見直してほしい。

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