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「アスキー新書」電子書籍期間限定値下げキャンペーン連動企画!

あれから2年――アメリカ電子書籍最前線

2013年01月12日 21時00分更新

文● 大原ケイ

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アスキー新書編集部よりのお知らせ

 紀伊國屋書店 KinoppyAmazon.co.jp KindleストアBOOK☆WALKERでは、期間限定でアスキー新書の電子書籍の緊急値下げキャンペーンを実施しています(KinoppyとKindleストアは1月24日(木)まで、BOOK☆WALKERは1月23日(水)まで)。

 今回はキャンペーン連動企画として、アメリカ在住文芸エージェントであり『ルポ 電子書籍大国アメリカ』著者の大原ケイさんに、アメリカ電子書籍の最新情報を執筆していただきました。


 この度は拙著『ルポ 電子書籍大国アメリカ』電子版をお買い上げいただき誠にありがとうございます(まだの方はこの機会にぜひどうぞ)。2年ほど前に上梓した本なので、今も日進月歩で変わりつつあるアメリカの電子書籍最新事情を少しでも補足させていただければと思い、以下のアップデートを付け加えます。目次に沿って書き足したので、ぜひ本書を手に取りながらお楽しみください。

1.未来型読書体験の幕開け

 2012年には日本でもNexus 7やiPad miniが発売され、kobo、Kindle、Lideoなども登場し、とりあえず電子書籍時代の「幕開け」は叶ったようですね。一方のアメリカにおいて、2012年は既に「3割」の時代になったと感じます。つまり、全米の読書人口の3割ぐらいは日常的に電子書籍を楽しみ、売れている本の3冊に1冊はデジタル版であり、大手出版社の売上げは3割ぐらいがEブックによるものになっています。

 そしてこれからも「成長率」という点では多少“失速”するものの、あと数年もすれば「5割」の時代が見えてくることでしょう。ただし、その後も10割になる、つまり紙の本がなくなることはないだろうし、これから先、Eブックが一過性のブームとして5割より減少していくこともおそらくないと言っておきましょう。しかし、正確に今後何十年に渡ってどの程度のペースで電子化が進むのかは予測しかねるのが正直なところ。私に聞かないでください。

 日本ではどう転んでも電子書籍の割合はアメリカのそれより低いままのような気がするなぁ。その要因としていくつか考えられるけど、なにしろ紙の質感だの、匂いだの、装丁のデザインだのと、“モノ”としての本に愛着があるのが日本人だから。

2.シリコンのようにしなやかなアメリカの出版社の対応

 この本に書いた後に、全米2位の書籍チェーン、ボーダーズはあえなく倒産。デジタルの最先端でも、Googleのブック・スキャン事業が実質お蔵入り。

 2012年の米出版業界ビッグニュースと言えば、ビッグ6社のうち最大手ランダムハウスとペンギンの合併に尽きますな。この2社で売れ筋の一般書で言えば全体の4分の1を占めることになるのだから。

 他にも色んな規模で出版社や文芸エージェンシーの合併・統合が進んでいる。これは一致団結してAmazonやFacebookといったIT大企業から我が身を守ろうという後向きな対処法に思えるのだけれど……。

 その反対に、「Eブック? そんなもの、うちではやりませんよ、はっはっは」という小さな出版社が元気よかったり、出版社には最初から頼らずセルフ・パブリシングで出した本が大売れする著者もチラホラ現れるなど、ほどほどの規模で、そこそこの本を出しているような中途半端な出版社がいちばん危ないのかもしれない。

3.アマゾンの本当の力

 日本でもようやく2012年秋からキンドルサービスが始まったので、ハードウェアの細かい仕様や実際の使い勝手などは、もう私から説明する必要もないでしょう。結局コンテンツ数というのは提供する側である出版社がクビを縦に振らないとどうにもならないので、フタを開けてみたらどこも似たようなタイトル数だったというのは驚くにあたらない。

 ただし、読み上げ機能やSNSとの連携、プライム会員への無料貸し出しサービス、そしてさらにアマゾンが日本でもテレビ番組や映画のストリーミングや、音楽配信に本腰を入れ始めたら、国内メーカーがハードだけ作ってスキマで儲けよう、などというセコいことはできないと覚悟しておいた方が良ろしかろう。これ以上税金を投入してナンチャラ機構を作ろうが、政府が出版社に著作隣接権なるマカ不思議なものを認めようが、AmazonやGoogleやAppleにコンテンツを提供「しない」という選択がなくなってきて、色んな国内の業界が黒船の底力に震撼することになりそう。

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