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「アスキー新書」電子書籍期間限定値下げキャンペーン連動企画!

あれから2年――アメリカ電子書籍最前線

2013年01月12日 21時00分更新

文● 大原ケイ

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4.電子書籍の値段と印税

 Eブックの値段や印税率などに関しては、アメリカでは落ち着くところに落ち着いてきていると言えるでしょう。日本と大きく違うのは、再販制がないので本に「定価」がないこと。出版社はEブックの値段があまり安すぎると、それと比較して紙の本の値段が高く感じられ、それが値崩れにつながることを懸念していたが、今のところそれはない様子。

 要するに読者は、同じコンテンツの本に対し、とにかく安ければ紙だろうがEブックだろうがどちらでもいいというわけではなく、紙ならいくら、Eブックならいくら、そして古本ならいくら、オーディオブックならいくら、という選択を与えられ、自分の価値観に従って欲しい媒体で本を買っているということなのだと思います。一般的に新刊書ではハードカバーがいちばん高く25ドルぐらいだとすれば、ペーパーバックが約半額の12~13ドル、Eブックだと15ドル、というのが平均的な値段でしょうか。

5.電子書籍で70%のおいしい印税生活が実現するのか?

 「セルフ・パブリッシング」といって、出版社を介さずに自分でファイルをアップロードするだけでEブックを売り出せるサービスが充実してきたのが一番の変化。中には、出版社から10%ぐらいの印税をもらって紙に刷って出すよりも儲かった場合も。

 それでも、セルフ・パブリッシングで出版社の目にとまり、紙の本でも出せてベストセラー、というのがいちばんおいしいのは昔と同じ。2011年にイギリスの著者が投稿したファン・フィクションとして話題になり、米出版社からペーパーバックが出て世界で6500万部も売れている『フィフティー・シェーズ・オブ・グレイ』のような大バケ本もあったけれど、こんな例はこれからもそんなにちょくちょく出てくるものではないでしょうね。相変わらず「宝くじ」状態で、ビッグジャンボ出ました~、といったところ。

6.アップルが電子書籍にもたらした功罪

 ようやく今年からiBooks日本語版のサービスも始まろうとしているみたいですが、iAuthorでその可能性に開眼した身としては、拙著でスティーブ・ジョブズにEブックの「ビジョンがない」と書いた部分は撤回したいと思います。というのも、E Inkベースの端末はこれ以上あまり進化の余地がないけれど、タブレットならネット回線の速度と、液晶の表現力次第で、今までの本とは一線を画す未来的なマルチメディア表現が可能だと感じているから。

 そしてそのキーワードは“higher learning”になると思う。ポッドキャストやスカイプを通し、マルチメディアな“enhanced”Eブック教本が登場すれば、お勉強が大好きな日本人にとって魅力的な世界が広がっていくでしょう。

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