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ハイエンドADC「AX 5630」発表

セッション数重視のアーキテクチャでF5を凌駕するA10

2012年11月30日 06時00分更新

文● 渡邉利和

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11月29日、A10ネットワークスは同社初となる40GbEポート搭載のアプリケーションネットワーキングプラットフォーム(ロードバランサ)のハイエンド製品「AX 5630」を発表した。

モバイル端末の普及に対応した
セッション数重視のアーキテクチャ

 まず概要説明を行なった同社の代表取締役社長兼CEOの小枝 逸人氏は、この市場のリーダーと目されているF5のシェアが低下する一方で同社のシェアが急成長を遂げているという調査結果を複数の調査会社が公表していることを紹介し、遠からずF5を追い抜くとの自信を示した。この自信の根拠ともなっているのが日本国内での好調な業績で、同氏によれば2012年度の業績はまだ確定してはいないものの、2009年の設立からの3年で10倍の成長を達成することはほぼ確実だとしている。

代表取締役社長兼CEOの小枝 逸人氏

 同氏は、同社の急成長の理由について端的に「正しい時期に正しい製品をリリースしたこと」だと語る。その意味は、競合であるF5がPCプラットフォームを想定したデータ量重視のアーキテクチャになっているのに対し、同社はデータ量よりもセッション数を重視した製品を投入したことだという。このアーキテクチャが携帯電話やスマートフォンの爆発的な増加のタイミングに併せて製品化されたことで、同社製品の競合優位が確立されたということだ。

40Gbps×4を備え、パフォーマンスも強力

 今回発表されたハイエンドモデル「AX 5630」は、同社初となる40GbE(QSFP+)×4ポートを備え、アプリケーションスループット77Gbps、600万L4CPSを実現する。セキュリティ機能も重視されており、SSL処理のハードウェアアクセラレーションによって2048ビット使用時のSSL CPSは17万4000で、1024ビットと比較してもパフォーマンスの劣化はないという。さらに強固な鍵が必要な場合でも、4096ビットで5万8000SSL CPSが実現できるという。

AX 5630と従来製品であるAX 5200-1との性能比較

 また、DDoS攻撃を処理するための専用ハードウェアであるFTAの最新バージョンFTA-2を4つ搭載し、DDoS攻撃の一般的な手法であるSYNフラッド攻撃には最大で毎秒1億のSYN送付を処理可能だという。従来製品であるAX 5200-11との比較では、スループットが2倍弱、DDoSプロテクション性能が2倍、L4コネクション数は1.3倍、2048ビット時のSSLパフォーマンスは4倍弱にそれぞれ向上した。

会場に展示されていたAX 5630。向かって右上に40GbEポート×4が配置。右下および左上は10Gbps SFP+ポート(計24ポート)。左下には管理インターフェイスや1Gbps SFP+ポートが配置されている。

 発売は12月3日で、出荷は2013年1月の予定。価格は4799万9000円(税別。テクニカルサポート費用別途)よりとなっている。キャリアグレードの製品であり、価格/性能いずれの面からもキャリア等での採用が中心になると思われるが、小枝氏は「年度内の相当数の販売を見込んでいる」と自信を見せた。

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