コアなフライトシムの世界へようこそ
Mad Catz「X-65F Combat Control System」
実売価格:3万7800円前後
製品情報
レースよりもマイナーなジャンルではあるが、フライトシム用デバイスにはステアリング以上にディープな世界が広がっている。それこそ2000円クラスのオモチャっぽい製品から、ガチな飛行訓練に使えそうな本格的な製品までピンキリだが、今回は戦闘機を扱うフライトシム用に設計されたMad Catz社製「X-65F Combat Control System」(以下、X-65F)を紹介しよう。
この製品はホンモノの戦闘機で使われている「HOTAS」……つまり、両手を操縦桿とスロットルに置いたままほとんどの操作を行なえる環境を模した製品。高いだけあって手触りも本格的でスイッチの数も安価な製品とは比べ物にならないほど多い! スイッチ好きならこの時点でよだれダラダラな感じだ。
さてこの操縦桿だが、映画の1シーンのようにグッと力を入れて倒そうとしても絶対に倒れない。その理由はXYZ軸の動きを回転角ではなく、操縦桿にかかった“圧力”で判断しているからだ。これは現実のFBW(フライ・バイ・ワイヤー)機の操縦桿とほぼ同じ検知方法だ(ホンモノはごくわずかに動くらしいが、本製品では微動だにしない)。この感圧方式にしっかり身体を慣らさないと、動くことのない操縦桿を無意識に動かそうとするので、腕がやたら疲れる点に注意したい。
スロットルレバーの方も重厚な作りだ。実際の戦闘機のスロットルと同様に、手を置いたまま様々な操作が可能なように至るところに十字キーやボタン、ロータリー式のつまみが付いている。スロットルレバー横のロックを解除すれば、左と右のエンジン出力を別個に調整も可能だ。
さらに面白いのは、このスロットルユニットに小さなパネルを装着して使う点だ。この上には操縦桿の圧力感知を調整する4つのボタンのほか、カバー付きのスイッチなどが組み込まれている。
これだけスイッチ類がついているが、これをどう使うかはユーザーの設定次第だ。OS標準のゲームデバイス用ドライバーで認識されるボタン以外の仕掛けが多いため、専用設定ツールを使い1つ1つ設定することになる。主要なフライトシムの場合は、同梱あるいはネット上で見つかる設定済みプロファイルを入れれば問題ない。もちろん“実機ではここのスイッチはこの機能”などとひたすらリアルさを追求して手動で詰めていくやり方もある。カバー付きボタンを何に割り振るかとか、そういうカスタマイズの過程すらも楽しめる人にこそ使ってほしい。
すべてのスイッチをいきなり使いこなすのは当然無理なので、フライトシム自体に慣れながら、少しずつ操作を身体に覚えさせていくことが大事だ。ゲームなのになかなか骨の折れる作業だが、この過程もシムの楽しみ方のひとつ。気合いがあるならぜひとも挑戦してほしい。
この連載の記事
-
第2回
PCパーツ
入力デバイスを強化してゲームに差をつけよう【キーボード編】 -
第1回
PCパーツ
入力デバイスを強化してゲームに差をつけよう【マウス編】 -
第-1回
PCパーツ
ホットなゲーミングデバイスを徹底レビュー - この連載の一覧へ