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日本ではHPCのシステムインテグレーター

ビッグデータ時代に原点のグラフィックスに回帰する日本SGI

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SGIといえば、1980年代にグラフィックスワークステーションで一大ブームをもたらしたまさにコンピューター会社の名門。その日本法人にあたる日本SGIでは、そのDNAとなるグラフィックスの技術とノウハウを、HPC(High Performance Computing)やビッグデータに活かそうとしている。

30年の歴史で変わったもの。変わらないもの

 まず日本SGIの現状についておさらいしておこう。2000年以降、米SGIの連邦破産法申請の影響もあり、日本SGIはおもにNECの傘下で日本独自の事業を行なってきた。しかし、2009年に旧SGIを買収したラッカブル・システムズが、SGI(Silicon Graphics International Corp.)に社名変更。2011年には日本SGIが米SGIの100%子会社となり、サン・マイクロシステムズやマクデータ、ブロケード、シスコなどの要職を歴任してきた石本龍太郎氏が代表取締役社長に就任している。

日本SGI 代表取締役社長 石本龍太郎氏

 こうした経緯もあり、日本SGIがなんの会社なのかを正確に言い当てられる人は多くないかもしれない。グラフィックス関係のソリューションだけではなく、現在ではHPC向けのスーパーコンピューターやサーバー、コンテナ型データセンター、InfiniteStorageやCOPANブランドのストレージ製品にも投入している。石本氏は、「大容量で高速なメモリアクセスができるSGI UV 2などは、ゲーム系やライフサイエンス、製造業、Eコマース系でも期待が高い」と述べる。

 多彩な製品を揃える日本SGIだが、本質はベンダーではないという。たとえばサーバーに関しては、必要なコンポーネントを組み合わせられる「Design to order」の仕組みや直流給電への対応などユニークな特徴を持つ。しかし、独自CPUのUNIXサーバーで名を馳せた同社も、現在の製品ラインナップはインテルCPUのサーバーだ。石本氏は「ハードウェア面ではなかなか差別化が難しいのも事実」と語る。

 こうした現状も踏まえ、石本氏は現在の日本SGIを「現在はHPCのシステムインテグレーターで、今後はビッグデータに関わろうとしているという捉え方が正しいと思います。売り上げも保守・サービスが6割で、ハードウェアは4割に過ぎません」と説明する。ここでいうインテグレーションは、アプリケーションに強いパートナーと組んで、システム構築を手がけたり、場合によってはアプリケーション自体の開発まで手がけているという。

グラフィックスでの強みをビッグデータに

 一方、変わらないものといえば、やはりグラフィックスやビジュアライゼーション。米SGIでは、「Back To G(Graphics)」をキーワードに原点回帰するメッセージが社内を飛び回っているという。石本氏は、「10年前からHPCの世界に進出し、今ではビッグデータ時代に進出しようとしているが、グラフィックスというSGIのDNAを強みとして活かせるようになってきた」と語る。HPCやビッグデータの解析結果をいかにビジュアル化し、人間に理解できるように仕上げていくか、こうしたところにノウハウを持つグラフィックスの技術者を社内にきちんと抱えているところは同社の差別化要因になっているという。

 また、必ずしも自社製品にこだわっていないのも変わらないところだ。「今後もSGI製品と同じくらい、他社製品を売っていく」(石本氏)という方向性は、米SGI傘下になった現在も変わらない。

 さらに顧客が教育関連や研究所に偏重しているのは、同社の強みでもあり、弱みでもある。「たとえば大学や病院など、同じ先生のところに営業を繰り返していたりする。でも横展開を考えれば、別の部門でも使ってもらえるかもしれない」(石本氏)。今後はパートナー制度を拡充することで、より幅広い業種での利用を促していく計画で、計算機やストレージリソースがビジネスの要となりつつある金融業、通信事業にも実績を増やしていきたいとしている。

 現在進めているのは、米本社との戦略のすりあわせだという。なにせ、米SGIからすると10年近く里子に出したようなもので、名前はSGIでも、容姿も考え方も大きく変わっているはず。しかし、「いざ開けてみたら、ストレージにフォーカスしたり、HPCのシステムを横展開していく、あるいは製造業でCAE(Computer Aided Engineering)でのビジュアル化を重視するといった日本の戦略が、米法人とかなり共通していた」(石本氏)とのことで、合併の効果も大きくなっているという。

 グローバル企業の中の日本SGIになりつつも、独自の強みを持つのもまた日本SGIの一面。その独自の立ち位置をうまく活かせるかが、今後の成長の大きな鍵となるだろう。

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