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Apple Geeks 第84回

iOS版「Google Chrome」が速くない理由

2012年07月06日 11時00分更新

文● 海上忍

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ウェブアプリが速くない!?

 筆者も早速ダウンロードして試したところ、思いのほか速くないような……? というより、特定の処理についてはMobile Safariより明らかに劣後している印象を受けた。

 Mac OS X/Windows版のGoogle Chromeでは、JavaScriptエンジン「V8」がその高速さで知られ、各種JavaScriptベンチマークで軒並みFirefoxやSafariといったライバルを上回るスコアを記録している。そのため、iOS版Chromeがリリースされたと聞いたとき、その高速なJavaScript処理系がiOSでも? と一瞬期待してしまったが、あえなく消え去った。

 試しにJavaScriptベンチマーク「SunSpider v0.9.1」を同じiPhone 4S上で実行したところ、Mobile Safariに大きく水をあけられてしまった(図1表1)。この値からは、Google Chromeに「V8」が搭載されていないであろうこと、そしてJITコンパイラも機能していないであろうことの2点が仮説として導き出される。この仮説は、iOSをジェイルブレイクしないかぎり証明できないが、これだけのスコアの差を見れば明らかともいえる。

図1:JavaScriptベンチマーク「SunSpider v0.9.1」計測結果(値が小さいほど高速)

表1:SunSpider 0.9.1(値が小さいほど高速)
Google Chrome Mobile Safari
3d 1004.0 263.8
access 1404.3 88.6
bitops 1213.4 177.4
controlflow 161.7 19.6
crypto 618.7 154.6
date 478.9 325.9
math 960.2 218.9
regexp 1697.4 89.0
string 1562.5 695.8
TOTAL 9101.1 2220.8

 JavaScript処理系に実行速度を大きく左右されるウェブアプリは、当然その影響を受けるため、Google Chromeのアドバンテージともいえる“スピード”を発揮できないことになる。JavaScript処理系のみでウェブブラウザーの優劣を語ることはできないが、Canvas(2Dグラフィックスを担うHTML5の要素)を利用した描画など、HTML5関連のタスクでは確実にMobile Safariに水を開けられることを意味する。FlashをサポートしないiOSにおいて、これはかなりのウイークポイントとなりうるはずだ。


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