「最近は古い作品がリメイクされたり、BOXや愛蔵版が出ることも多いからニャ」
「単行本がすぐに文庫落ちしてきたりね。書き下ろしがあったり後書きが新版だったりして、結局両方とも買うことになるし、それから初回特典がっ……」
「まあまあ、今は文庫じゃなくてリマスター版の話なのニャ」
基本は同じ
「市販のリマスター版も、映像を高解像度に変換、補正してるというのは変わらないよ」
「なら、どこが違うのニャ?」
「えーと、予算?」
「今日の君はなんだかやたらと身も蓋もないニャ!」
「まあそれは冗談として。レコーダーでは基本的にはどの映像にも同じ処理をするでしょ」
「確かに、サスペンスとコメディで映像の明るさを変えたりはしないしニャ」
「リマスター版は、絵画の修復みたいに人間がきちんと内容を見て修正して、新しい原盤(マスター盤)を作るっていうのが大きな違いかな」
「つまり、好きな女優のアップを頑張って美人にしたりとかだニャ!」
「いや、それはどうかな……」
プロの技術は凄いんです
「たとえば古い記録映像を見ると、あちこちにノイズが入ってたりするでしょ」
「モノクロ画像だと特によく見るニャ」
「アナログのテープは古くなると劣化して、どうしてもノイズが入るんだよね」
「古い映画だと、あのノイズがより情緒をかき立ててだニャ……。そういうノイズは自動では消せないのニャ?」
「ある程度は消せるけど、それを全部きちんと消すのがプロの技術だね」
「音声の修正も大変なんだよ。音声の波形データを細かく表示して、ノイズとそうでないものを分けていくんだ」
「気の遠くなるような作業だニャ……」
できる限りオリジナルに
「プロが修正した作品は綺麗だニャー。でも昔に見たテレビはアナログだったし、思い出の作品とは別物にも思えるニャ……」
「そう、そこが難しいところでね」
「そうなのニャ?」
「昔の映画監督はデジタルのはっきりした画像なんて知らなかったわけでしょ。当初の監督の意図を超えて映像を綺麗にするのがいいとも限らないよね」
「大切なのは、作品に込められた意図なのニャ」
「そうそう。どうすればオリジナルにもっとも近くなるか考えて作業するんだ」
「職人技だニャー」
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