「はい、笑って笑って! いいねーその顔、いよっ、日本一っ」
フラッシュの光とともにパシャパシャっという音が連続で鳴る。おしゃれなデジタル一眼レフを手にしたトモちゃんは、根性で中腰の体勢を維持しつつシャッターを切っていた。
「じゃあ次行ってみよう! 下からぐっと見上げるアングルで……うん、アンニュイさがよく出てるよ、かふか!」
可愛らしいクッションの上にちょこんと座る僕のもとに、トモちゃんはカメラを構えて匍匐前進でずるずると近づいてくる。正直ちょっと怖か ったけど、僕は逃げたりはしなかった。トモちゃんの言うアンニュイさが今の僕にあるかは知らないけれど……まあ、ちょっと疲れてはいるかな。
トモちゃんはなおも僕に向けてシャッターを切るのに夢中だ。
夜までかかってやっと撮影が終わった後、トモちゃんは自分のパソコンで写真を整理し始めた。デジカメからSDカードを抜いてパソコンに差し込み、ビューアで一覧表示させると、僕の顔がずらっとモニタいっぱいに表示された。
「うーん、どの写真にしようかな……どれも捨てがたいなあ……」
サムネイルを前にトモちゃんはうーんうーんと悩んでいる。
トモちゃんはしばらく腕組みしていたが、やがて顔を上げて宣言した。
「どの写真も素敵だから、捨てるなんてできない! 全部データを入れて、マキちゃんたちにプレゼントするの!」
トモちゃんはごそごそと引き出しから空のDVDディスクを持ってきて、今度はそれをパソコンに挿入した。どうやらDVDに写真データを焼いて友達に渡すつもりのようだ。
「えーっ、ディスク容量が足らないってどうして!?」
「不良品なのかなこのディスク、取り替えてみよう……うーん、やっぱり駄目だ」
「これじゃあ、かふかの写真がー……」
トモちゃんは目に見えてしょげてしまった。 僕はひょいっとパソコンデスクの近くの棚の上に飛び乗って、モニタを眺める。いったいトモちゃんはどこで失敗してしまったのか。
ウィンドウの下部に写真の枚数が表示されていた。……って、こんなにあったの!? それじゃあ、このエラーも仕方ないかな……。
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