Windowsが動作する環境は、解像度や画面の物理的なサイズにさまざまなバリエーションがある。おなじXGAでも10インチ級のノートPCもあれば、14インチ級の液晶ディスプレーもある。こうしたバリエーションは製品の選択肢を増やし、結果的に低コスト化にもつながっているが、その反面アプリケーション開発者の負担になっていことも事実だ。
さまざまな解像度や画素密度に対応する際に困難な問題のひとつは、解像度が低く、同時に表示すべき情報を表示できない場合への対応だ。縦方向の解像度が低いネットブックが登場したときに、ダイアログボックスがはみ出してしまって「OK」や「キャンセル」ボタンが押せないといった問題が発生した。テキストやビットマップは、表示ドットとの関係が決まってしまう(図1)。
画面が小さいからといって、テキストを2×2ドットでは表示できない。どんな解像度であろうとも、文字として読める表示でなければならない。画面に表示されるすべてのものには、ユーザーに伝える意味(例えばボタン上にある「OK」や「キャンセル」)を失わない最低限のドット構成がある。これらを限られた解像度の中に配置しようとすると、解像度が低いディスプレーでは画面からはみ出してしまう。だからといってスクロールで対応しようとすると、途端に開発の手間が増える。
しかし、OS側で最低限の解像度が決まっていれば、それを前提にアプリケーションを開発でき、開発者の作業負担が減らせるわけだ。またWindows 8では、APIである「WinRT」に、アプリケーション画面のレイアウトを支援する機能がある。
Windows 7が使われている現時点でも、ノートPCではネットブックのように、XGA未満の画面解像度のマシンが存在している。そのため、Windows 8で最低解像度を定めることには意味があるし、影響も小さくない。
Windows 8タブレットの解像度は
1366×768ドット以上
一方タブレット製品の場合、x86/x64またはWindows RT(ARM版)のどれであっても、最低限の解像度は1366×768ドットと規定されている。この解像度はWXGA(Wide XGA)やFWXGA(Full Wide XGA)などと呼ばれる(以下WXGA)。この規定により、Windows 8をプリインストールしたタブレット製品は、この解像度以上のディスプレーを搭載すると思われる。現在販売されているノートPCではこの解像度が主流であるし、それほど特殊な解像度ではない。
このWXGA解像度は、Metro環境で画面を分割して、2つのアプリケーションを表示する「スナップビュー」(以前はSide bye sideと呼ばれていた)を使うために、最低限必要な解像度でもある。これ以下の解像度の場合、Metro Styleアプリケーションに対してスナップ機能は動作せず、常にひとつのアプリケーションだけが表示されることになる。もし今後タブレットPCを購入するのであれば、WXGA以上の解像度のパネルを搭載する製品を選んだ方がいい。
スナップは2つのMetro Styleアプリケーションか、WindowsデスクトップとMetro Styleアプリケーションを同時に表示する仕組みである。片方の領域は小さく簡易表示となり、もう一方はフルサイズの表示となる。小さい方の横幅は320ドットと固定されており、残りをもうひとつのアプリケーションが使う。2つのアプリケーションの間には、サイズ変更などのためのバーが入り、その横幅が22ドットある。つまり横1366ドットは、320+22+1024ドットとなり、フルサイズ表示のアプリケーションには、最低でも1024ドットが割り当てられるようになるわけだ(図2)。
これによって、Metro Styleアプリの最低サイズが1024×768ドットとなる条件は満たされる。逆に考えると、この条件を満たしつつ簡略表示側アプリケーションに一定の横幅を割り当てるために、1366ドットという解像度が出てきたとも考えられる。
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