男性向けカバンの世界は、女性市場に比較して、それほどトレンドの波を大きく被ることのない市場だ。しかし、いつの頃か、モノ系雑誌や情報誌メディアがカバンメーカーや販社とタイアップして、自ら新しいトレンドを創り出そうとする分かりやすいマーケティング活動が目立つようになってきた。
筆者のペンネームでもあり、一時は男性ビジネスカバンの流行トレンドの頂点に立った通称「ゼロ・ハリ」(ゼロハリーバートン社のアタッシュケース)はレジェンドと栄光のある長い歴史とそのブランド戦略の成功例の1つだ。その後、そのほかのメーカーもメディアを活用し、ゼロ・ハリに追いつけ、追い越せがキーワードとなった。
その後、TUMIやハートマン、RIMOWAなどの堅牢外観のビジネス系、吉田カバンや土屋鞄、ダニアエル&ボブ、オロビアンコに至る軽量、ソフトなカジュアルビジネス系のカバンが登場し、ブランド合戦の時代に突入したのである。
多くのビジネスマン系カバンが金属ハード系から革・ナイロンのソフト系にかなりのスピードで推移したのは、地球規模のエコに根ざすクール・ビズ運動の影響も大きいだろう。また、ビジネスピープルがカバンに収納するテクノロジー機器のサイズのコンパクト化や堅牢性の強化などもその一因に違いない。
今では、お固い一部の金融系企業でもない限り、トートバッグをビジネスの第一線で使っても違和感のない時代となった。今回ご紹介するカバンである「スタジオ・プロペラTB35」(以下:TB35)は、筆者なら気兼ねせずどこへでも持ち歩くが、その辺りの感覚は個人差や環境差もあり微妙かもしれない。
TB35は、最近は意外と見かけることの多い“異素材コンビネーション”のデザイナーズカバンだ。メインの収納部分は、軽量だが堅牢なアルミニウム板金で作られており、蓋にあたるフラップ部分は上質な厚手のタンニンレザー製だ。
取っ手のグリップ部分は太くても、指にしっかりなじみ、フラップとの接合部分は重量による湾曲防止のために補強され、安定して持ち歩けるだろう。全体の外形サイズは、370mm x 275mm x 75mm(アルミニウム部分)とこの手のケースとしてはコンパクトで持ち歩きは容易だ。
「戦略的衝動買い」とは?
そもそも「衝動買い」という行動に「戦略」があるとは思えないが、多くの場合、人は衝動買いの理由を後付けで探す必要性に迫られることも多い。
それは時に同居人に対する論理的な言い訳探しだったり、自分自身に対する説得工作であることもある。このコラムでは、筆者が思わず買ってしまったピンからキリまでの商品を読者の方々にご紹介し、読者の早まった行動を抑制したり、時には火に油を注ぐ結果になれば幸いである(連載目次はこちら)。
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