AtomからFusion APUべースへ
最大6画面出力に対応
米ヒューレット・パッカード社は13日(現地時間)、同社パートナー企業の代表者を集め、ラスベガスで開催中のイベント「Global Partner Conference 2012」の会場で、4月に市場投入するシンクライアント製品を発表した。“Flexible”のブランド名を新たに付けた新シリーズとなる。
幅広いOSの選択肢を持ち、PCI ExpressやMini PCIスロットを使った拡張性、高いグラフィック性能を生かした動画やマルチメディア機能の活用も可能。Flexible(=柔軟性がある)という語義のとおり、特定用途に対して、きめ細かい対応が求められるシンクライアントの性質に対応しうる、高い基本性能を持つ点が特徴となる。
製品としては「HP t610 Flexible Thin Client」「HP t610 PLUS Flexible Thin Client」「HP t510 Flexible Thin Client」の3モデルがある。既存モデル(Atomベースの5700番台)も当面継続する。
このうち上位のt610 PLUS/t610は、CPUに第2世代のAMD Fusion APU(T56N+Radeon HD 6320)を採用。CPUはデュアルコアで動作で、1.65GHz駆動。複数枚の画面を扱う金融業界など、高い性能と信頼性を求められる業界を想定する。価格は399ドルから(約3万1000円)。
H.264やVC-1、MPEG-2などの支援機能も装備。スリム筐体のt610では2系統、より幅の広いt610 PLUSでは拡張カードの追加でさらに4系統のディスプレー出力を追加できる。Citrix HDX、Microsoft RFX、VMWare HCLなどに対応。
CPUおよび内蔵グラフィックスの変更により、一世代前のt5740と比較して、Windows Experienceの値で約60%、Windows Media Playerで1080pのWMVファイルを再生した場合のフレームレートで約161%(60fpsに対応)、動画再生時のCPU負荷で49%の性能向上(10%以下のCPU占有率)を果たした。
t510は、VIAのデュアルコアプロセッサーEden X2 U4200を採用した廉価版モデルで、コールセンターなどでの大量導入を想定している。デュアルコアでクロック周波数は1GHz。筐体はより小型となる。最小構成で259ドル(約2万円)と300ドル以下の価格とした。
いずれの機種もOSは従来から対応していたWindows Embedded Standard 7/2009、LinuxをHPが独自にカスタマイズしたHP ThinProに対応する。