6月21日、日本ヒューレット・パッカードは企業向けのデスクトップPCとノートPC、ワークステーション計15機種を発表した。
震災以前からPCの省電力化に取り組んできた同社だけあり、今回の新製品も省電力化が進んでいる。まず、デスクトップPCでは4年前のモデルと比べて70~84%も消費電力を削減しており、消費電力10Wを実現する製品も用意。ノートPCでは、15.6インチ液晶を搭載しながら消費電力が12Wの「ProBook 6570b」、12.5インチ液晶で消費電力9Wの「EliteBook 2570p」が登場する。
また、昨年夏の電力危機/電力使用制限令への対策として話題となったピークシフトに対しては、ノートPC全製品が標準搭載する電源管理ソフト「Power Assist」に日本独自のリクエストによる「ピークシフト機能」を加えることで対応済みだ。
省電力に加えて、同社製品の特徴となるのが、
- セキュリティ
- スペース
- 「Made In Tokyo」
という3点になる。
まず、セキュリティに関しては、パワーオンパスワードやBIOS設定変更時のパスワード要求、そしてデスクトップPC「Compaq Pro 6300SF」をのぞく14機種に添付する統合セキュリティソフトウェア「ProtectTools」などで実現する。ProtectToolsを使うことで、デバイスへのアクセス制御、消費者庁「個人情報の保護に関するガイドライン」にて事実上必須とされるというHDDの丸ごと暗号化、1回の指紋認証操作で電源投入時の認証からWindowsへのログインまで可能な「シングルサインオン」などが、標準機能として可能になる。
続く省スペースは日本のユーザーからの要望に応えたもので、同社の企業向けPCで初となる11.6インチ液晶搭載のノートPC「EliteBook 2170p」がラインナップに登場。また、デスクトップPCにはウルトラスモール(US)の「Compaq Elite 8300 US」、ワークステーションにはスモールフォームファクタ(SFF)「Z220 SFF Workstation」という、通常製品と比べ筐体を1/3まで小型化した製品を用意する。
ワークステーションのSFF筐体は、2010年発表の「Z220 Small Form Factor Workstation」で登場しているが、小型筐体のワークステーションを開発してほしいという日本からの要望は、米本社になかなか受け入れてもらえなかったという。しかし、実際に登場してみると米国でも要望が大きく、米国市場では通常筐体とSFFの出荷数はほぼ同等となっている。米国企業にはパーティションで区切られた大きなデスクが用意されるイメージがあるが、実際にはそうとも限らず、たとえば病院などで採用されているという。
3つ目のMade In Tokyoは、注文を受けたPCの生産を東京都昭島市の工場で行なうもので、日本ならではの厳しい製品管理による品質の高さ、5営業日という納期の短さを実現する。これまでのデスクトップPCやワークステーションに加え、2011年8月からノートPCの生産も始めており、一部ノートPC以外はすべてMade In Tokyoとなっている。
ノートPCは2ブランド9製品
ノートPCの新製品は、特殊環境や高温、低温環境での動作など、米軍の調達基準「MIL-STD-810G」テストをパスしたプロフェッショナルモデル「EliteBook pシリーズ」が3製品、企業向けに高い拡張性を持つ「ProBook bシリーズ」が1製品、そしてコストパフォーマンスに優れた「ProBook sシリーズ」が4製品となる。
製品名 | おもな特徴 | 最小価格(税抜) | 発売開始日 |
---|---|---|---|
EliteBook 2170p | ドッキングステーション用意の11.6インチ | 9万6000円 | 8月中旬 |
EliteBook 2570p | 12.5インチ液晶搭載の「9W」モデル | 10万2000円 | 8月中旬 |
EliteBook 8470p | 14.0インチワイド液晶搭載 | 12万5000円 | 7月中旬 |
EliteBook 8570p | 15.6インチフルHD(1920×1080)液晶 | 12万8000円 | 7月中旬 |
EliteBook pシリーズの新製品では、「EliteBook 2170p」にPS/2やシリアル、パラレルなどデスクトップPCとほぼ同様の端子を備えたドッキングステーションを別売りオプションで用意する。
ProBook bシリーズ1製品は、15.6インチワイド液晶を搭載する「ProBook 6570b」。企業での長期運用を前提とし、TCO削減に適したモデルという。第3世代Core i3/i5/i7、Celeronに対応し、価格は7万8000円から。提供開始日は8月下旬だ。
ProBook sシリーズの新製品は、第三世代Core i5およびCeleron搭載の3機種、そしてAMD製プロセッサ「AMD Fusion APU」搭載の15.6インチモデル「ProBook 4545s」となる。4製品とも、シルバーを基調とした上質な質感の新しいデザインを採用し、ユーザーからのフィードバックからタッチパッドのボタンのクリック感を向上するなど、全体的にワンランク上の質感を実現したという。
製品名 | おもな特徴 | 最小価格(税抜) | 発売開始日 |
---|---|---|---|
ProBook 4340s | 13.3インチワイド液晶 | 5万4000円 | 7月中旬 |
ProBook 4540s | 15.6インチワイド液晶 | 5万円 | 7月下旬 |
ProBook 4545s | 15.6インチワイド液晶、AMD製CPU | 5万8000円 | 7月下旬 |
ProBook 4740s | 17.3インチワイド液晶 | 5万7000円 | 7月上旬 |
デスクトップとワークステーション
デスクトップPCは、ハイエンドモデル「Compaq Elite 8300シリーズ」3製品、省スペース型のスタンダードモデル「Compaq Pro 6300 SF」1製品となる。第3世代Coreプロセッサーを搭載するほか、全モデルがUSB3.0を搭載し、搭載メモリをPC3-10600からより伝送速度が向上したPC3-12800に変更するなど、基本性能の向上を実現する。
製品名 | おもな特徴 | 最小価格(税抜) | 発売開始日 |
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Compaq Elite 8300 US | ウルトラスリム | 7万円 | 6月21日 |
Compaq Elite 8300 SF | 省スペース | 7万7000円 | 6月21日 |
Compaq Elite 8300 MT | ミニタワー | 7万8000円 | 6月21日 |
Compaq Pro 6300 SF | 省スペース | 4万7000円 | 6月21日 |
ワークステーションは、ミニタワー型「Z220 Workstation」(11万円から)と省スペース「Z220 SFF Workstation」(12万3600円から)の2製品。対応CPUはXeon E3-1200 v2ファミリーで、最大メモリは32GB(8GB×4)。HDDのキャッシュとしてSSDを使うことでストレージの高速化する「インテル スマート・レスポンス・テクノロジー」にHPの法人向けデスクトップ型では初めて対応する。販売開始日は7月2日だ。
