米国ニューヨークで、先々週開催された「NRF 101st Annual Convention & EXPO」(以下NRF 2012)。リテールビジネスに関する世界最大規模のイベントだ。
リテールビジネスと言うと少々お堅い内容を思い浮かべるかもしれないが、展示会に華を添えるのはやはりIT。最新技術を掛け合わせて、小売店やサイネージの楽しい未来を演出している。ここでは16~17日に、Jacob Javits Centerで開催された展示会の内容を紹介していこう。
デジタルの力でリッチな“顧客体験”を目指す
会場でひときわ目立ったのは、大画面のディスプレーデバイス上で、マルチタッチや3Dグラフィックス、AR技術などを組み合わせて、リッチな顧客体験を提供するデジタルショウケース的な展示だ。
例えばマイクロソフトのブースでは、コントローラーを使わずにXboxでゲームができる「Kinect」(キネクト)をサイネージに応用。離れた位置から自分の好みの衣服を自由自在に着こなせるデモを実施していた。操作はすべてジェスチャー。画面の近くに寄ったり、リモコンを操作する必要もない。
Kinectを応用したデモは他社ブースでも散見され、ゲームだけではなくさまざまな応用の可能性を持ったデバイスであることを再認識できた。
同じマイクロソフトのブースでは、テーブル状のマルチタッチディスプレーの上で、ウィジェットを操作し、カタログを見たり、注文書を作ったりするデモも実施されていた。見た目は「Surface」に似ている(関連記事)が、Samsungの液晶ディスプレーにWindowsマシンを接続したもの。
紙を扱うように机の上にさまざまな資料を広げられるのはもちろん、必要な部分だけを抜き出して、注文書にスクラップできる。作った注文書はそのままチェックアウトしてもいいし、スマホなどに移して持ち帰ることもできる。店頭の未来を感じさせるデモだ。
同様の試みは東芝のブースでも見られた。こちらは書類をカメラで取り込んだり、タブレットを近づけて、音声で指示すると表示内容がスルスルとタブレットの中に移動していったりと、さらにギミックとして面白い。プレゼンテーションから、注文までいろいろと応用が利きそうだ。
このような、大画面のディスプレー、タッチ操作、スマホ連携というのは各社が積極的に取り組んでいた分野だ。