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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第131回

AMDサーバー製品の顔役に聞くBulldozerの真実 後編

2011年12月19日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/

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製品数の多すぎるインテルは複雑すぎ
Opteronのシンプルさは利点に

――最後にもう一度、未来のお話をうかがいます。2011年のAMDは、インテル相手にかなり厳しい戦いを強いられてきましたが、2012年はどうなると思われますか?

フリー「2012年はずっと状況がよくなると思っている。我々は良い製品を手中にしており、これはインテルに対して非常に強い状況にある。インテルはサーバー向けでは『Sandy Bridge-EP』でBulldozerに対抗してくると思われるが、難しいだろう」

「我々はすでに製品を出荷している。パートナーはプラットフォームを変えずに、プロセッサーだけの置き換えでリリースできる。対するインテルは製品の発表にあわせて、パートナーは製品ラインナップを入れ替える必要がある」

――AMDは2010年と2011年に、「Removing 4P Tax」というキャッチフレーズでプラットフォームを変更しました。インテルも2012年には、同じラインナップを用意する方向でいます。

フリー「その結果、彼らの製品ラインは混乱することになった。まず1プロセッサー向けに『Sandy Bridge-DT』。2プロセッサー向けに『Sandy Bridge-EN』、これはOpteron 4200シリーズ対抗品だ。そしてSandy Bridge-EPと、さらにはSandy Bridge-EXもある。この結果、4プロセッサー製品が2種類に2プロセッサー製品が2種類、1プロセッサー製品が1種類と、都合5製品にもなった。これは恐ろしく複雑だ。さらにItaniumまである」

――Itaniumはまた別の議論なので、外してもいいのでは?

フリー「しかし、日本ではItaniumが非常に広く使われている」

――それはメインフレームの代替であって、高信頼性が要求される部分です。AMDはそうしたマーケット向けのソリューションは持っていません。

フリー「そのマーケットは非常に小さいから、我々は興味がない。ただそうしたビジネスがいまだに続いている以上、インテルのパートナーにとっては都合6種類の製品ラインがあることになる。我々のストーリーは簡単で、4プロセッサー製品は1種類しかない。これは大変なことだ」


 前後編に渡ったが、フリー氏へのインタビューをお届けした。一般論としてマーケティングの人は楽天的でないと務まらないのは事実だが、氏はその中でもかなり楽天的というか、強気なスタンスの人ではある。そのあたりを割り引いて話を聞いたほうがいいのは間違いないのだが、それでもBulldozerに大きな期待を抱いているのは間違いないようだ。

 問題は、これをデスクトップに転用せざるをえない(デスクトップに最適な製品を別に作れない)というAMDの懐具合なのだが、これはむしろそれが可能なインテルがどうかしている、というべきなのかもしれない。

 何はともあれ、AMDが2012年に本当にサーバー市場のシェアを再び増やすことができるのかどうか非常に楽しみというのが、インタビューを終わっての率直な感想である。

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