前回に引き続き、AMDにてサーバー&ワークステーション担当プロダクトマーケティングディレクターを務めるジョン・フリー(John Fruehe)氏へのインタビューをお届けする。フリー氏はサーバー製品に置ける情報発信の窓口で、いわばAMDの顔である(注:インタビューは11月上旬に行なわれた)。
Bulldozerは今のAPUとは
異なる形でGPUを取りこむ?
――今後のコアについての話をうかがいます。AMDは「Bulldozer」の次やその次の世代でも「IPCを改善する」と話しています。これはどうやって実現されるのでしょう?
フリー「我々は次のコアのデモは行なっているが、まだその詳細について話を聞いていないので、ここで説明することはできないよ。ただ重要なことは、Bulldozerはモジュラーアーキテクチャーになっていることだ」
「ここで言うモジュラーとは、例えば新しいコアが完成したら、すぐそれを製品に落とし込めるという意味だ。第1世代の製品というのは、今後の5~7年に渡って使われる製品の土台を構築するという目的に沿って作られている。今後どんなアーキテクチャーが来ても、それをプラグインすることで新しいテクノロジーを利用できるようになる」
――その新しいテクノロジーとはなんでしょう? アーキテクチャー側の話ですか? それともプロセスや機構側ですか?
フリー「今日はいい天気だねぇ」(笑)
――今日は曇ってます(笑)
フリー「すでに我々は異なるタイプのコアアーキテクチャーを、モジュールで利用できるようにしていること、また将来はCPUに加えてGPUの能力もモジュールで利用できるようにすることは、すでにアナウンスしている」
――それはAPUテクノロジーを取りこむということですか?
フリー「GPUの機能を統合する能力があるということだ」
――AMDはCPUテクノロジーとGPUテクノロジー、そしてインターコネクトのテクノロジーの総称としてAPUと呼んでいます。これとは異なる話ですか?
フリー「最大の違いは、現在のAPUは(CPUとGPUの)2つのコンポーネントを、ひとつのパッケージに収めて協調動作させるというテクノロジーである。そのために、メモリーコントローラーは共有メモリーを扱う構造となっている。Bulldozerが採用したモジュラーアーキテクチャーとの違いは、この共有メモリーの領域だ。ここに使われるメモリーコントローラーは、(APUとは)異なる物になる。だから明日『BulldozerにGPUを追加したい』と思っても、それは不可能だ。だが、将来はそれが可能になる」
――次にプロセスについてお聞きします。130nm SOIから45nm SOIまでの歴史を振り返ると、プロセス立ち上げ当初の製品はそれほど良くなかったのですが、プロセスの改良によって製品が改善されてゆきました。こうした効果は、現行あるいは次世代のBulldozerで期待できますか?
フリー「将来の製品については言及はできないよ?」
――では質問の仕方を変えましょう。現在デスクトップ向けの「AMD FX」はB2 Steppingですが、これは「Opteron 6200/4200」も同じですか?
フリー「そのとおりだ。一般的にリビジョンが変更される場合、より高速に動作したり、新機能が追加されることになる。生産開始後にも引き続き改善をしていくことで、歩留まりが向上して良いダイを得られるようになり、それが動作周波数の向上につながる。生産開始から半年もすると、大体100MHzや200MHzの動作周波数の上乗せが可能になる」
「こうしたものは、例えば『B2』から『B3』の変更になる。だが『C Stepping』となると、これはデザインの変更を伴うものになる」
――現時点でB3 SteppingやC Steppingに移行するような計画はありますか?
フリー「まぁ未来のことはわからないよね」(笑)
「将来の製品については言及はできないが、一般的に言って通常のスケジュールどおりに進めば、より高速な動作周波数の製品が今後登場するとは思う。大体6~9ヵ月後には、動作周波数を改善した製品がリリースされ、12~18ヵ月後にはデザインが変更される。こうしたサイクルは現在も継続して行なっている」

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