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西田 宗千佳のBeyond the Mobile 第78回

薄型軽量にリニューアル LIFEBOOK SH76/Eの実力は

2011年10月27日 14時00分更新

文● 西田 宗千佳

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パフォーマンスは十分
ソフト仕様の「古さ」に疑問も

 今回テストしたSH76は店頭販売仕様のもので、搭載されているCPUはCore i5-2520M(2.50GHz)である。このクラスの製品向けとしてはもはや標準的なCPUであるが、Windows 7上でビジネスアプリケーションを中心に使うなら、パフォーマンスの点で不満を感じることはまずない。Windowsインデックスエクスペリエンスの値は「5.8」。総じて値はかなり高く、パフォーマンス面での充実度は申し分ない。

Windowsエクスペリエンスインデックスの値。最低値はグラフィックス

 むしろ気になったのは、総じて発熱が高めであることだ。決して不快なレベルではなく、フルパワーに到達してもさほど厳しい値にはなっていない。だがアイドル時でも高温の排気がそこそこ出ていることと、特にキーボード左側に熱が伝わりやすいことは気になった。他方でパームレストは終始発熱量が小さく、快適だったと感じる。

各部の温度 放射温度計による測定、室温は24度。フルパワー時はH.264動画エンコード状態

 SH76はハード面では問題の少ない、よくできた製品だと思う。キーボードのタイプ感は好みではないが、粗悪なわけではない。むしろデザインは独自性が高く、評価できる。ただ、使い始めてちょっとうんざりしたのは、デスクトップ上に並ぶ大量のアイコンだ。

 不要なソフトが多く付属してくるのが常だが、こうも並べられるとちょっと興ざめだ。もちろん自分で削除すればいいのだし、それが性能に与える影響も少ない。アイコンの中には、本体価格を下げたり広告費を捻出したりするために必要な、パートナーのアプリケーションもあるだろう。

 しかし、SH76の広くないディスプレーでは、あまり得策とは思えない。SH76のディスプレーは1366×768ドット。価格帯・サイズから言えば標準的なものだが、大量のアイコンのためか非常に狭く感じられる。

 ユーザーがあまり使わないソフトを大量に入れること、そしてそのアイコンを並べて誘導するという手法は、そろそろ考え直した方がいいのではないだろうか。SH76は海外メーカーにも負けない、とても優れた製品だと感じるが、この画面をみた瞬間に「古いな」という印象を受ける。

 また省電力ユーティリティー系も、ちょっと古い。設定をひとつひとつ変えられるのはいいが、プロファイルを複数保存して切り替える、といった思想にはなっていない。「シンプルな使い方ならこれで十分」という考え方なのかもしれないが、他社のものに比べ使いづらいと感じた。

 光学ドライブ搭載のモバイルノートが減り始めている今、光学ドライブ内蔵にこだわるなら、SH76は強くお勧めできる製品である。だが、ソフト面での仕様をそろそろ見直さないと、ハードの「新しさ」についてこれない気がする。

お勧めする人
・光学ドライブ「内蔵」のモバイルノートにこだわる人
・長時間利用可能なバッテリー容量が必要な人
LIFEBOOK SH76/E の主な仕様
CPU Core i5-2520M(2.50GHz)
メモリー 4GB
グラフィックス CPU内蔵
ディスプレー 13.3型ワイド 1366×768ドット
ストレージ SSD 128GB
無線通信機能 IEEE 802.11b/g/n、WiMAX
インターフェース USB 3.0×1、USB 2.0×2、HDMI出力、アナログRGB出力、10/100/1000BASE-T LANなど
サイズ 幅316×奥行き223×高さ16.6~23.2mm
質量 約1.34kg(光学ドライブ装備時)
OS Windows 7 Home Premium 64bit版
予想実売価格 18万円前後

■Amazon.co.jpで購入

筆者紹介─西田 宗千佳

1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。主に取材記事と個人向け解説記事を担当。朝日新聞、読売新聞、アエラ、週刊東洋経済、月刊宝島、YOMIURI PC、AVWatch、マイコミジャーナルなどに寄稿するほか、テレビ番組・雑誌などの監修も手がける。近著に、「iPhone仕事術!」(朝日新聞出版)、「iPad vs.キンドル」(エンターブレイン)、「メイドインジャパンとiPad、どこが違う? 世界で勝てるデジタル家電」(朝日新聞出版)、「知らないとヤバイ! クラウドとプラットフォームでいま何が起きているのか?」(共著、徳間書店)。「電子書籍革命の真実 未来の本 本のミライ」(エンターブレイン)、「災害時ケータイ&ネット活用BOOK」(共著、朝日新聞出版)。最新刊は「形なきモノを売る時代 タブレット・スマートフォンが変える勝ち組、負け組」(エンターブレイン)。

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