今回試用するのは、富士通の「LIFEBOOK SH76/E」(以下SH76)だ。富士通の今冬モデルの中でも注目株の製品である。13.3型・光学ドライブ搭載でありながら、薄型・軽量・長時間駆動という、モバイルの本流を突き詰めている製品だからだ。
デザインから製造まで国産をアピールし、設計を一新したSHシリーズの実用性は、どのくらいのものなのだろうか?
13.3型・光学ドライブありでもこの軽さと薄さ!
SH76の最大の特徴は、やはり薄くて軽いことだ。13.3型というサイズは、フットプリントだけをみればそう小さいものではない。だが本体を持ってみると、見た目以上に軽くできていることに驚く。
重さは標準出荷状態で1.34kg。だが、これは光学ドライブを搭載した値であることに留意していただきたい。ドライブ部は独自の「モバイル・マルチベイ」になっており、取り外して別のオプションへの変更が可能だ。付属のカバーに取り替えて最軽量状態にすれば、1.22kgまで軽くなる。
もちろん、1kg以下のノートもある現在では、「これが最軽量」とは言えない。しかし「13.3型」「光学ドライブ」の両方を満たし、さらには「長時間駆動=大容量バッテリー搭載」(これについては後述する)までカバーするとなれば、これだけの重量で収まっているのは素直に賞賛に値する。また、交換式光学ドライブという構造的な不利を抱えていても、最薄部で16.6mmという薄さになっているのは、やはり「よくがんばった」と思う。
富士通は、LOOXシリーズなどでとんがった小型・軽量モデルにチャレンジする一方、メインストリームに近いSHシリーズでは、「13.3型+光学ドライブ」という「1台目のパソコンとしても選べる構成」を外さずに手がけてきた。だが他方で、過去のモデルは重量が1.5kgを超えることもあり、モバイルにこだわる層には不満もあった。
だがSH76は、重さ・薄さともに大きな不満はない。デザイン的に、かなり洗練されたものになったのも注目に値する。ボディーそのものは、モバイルノートらしいマットブラックな仕上げだが、キーボードの方はサイドからちらりと青いラインがのぞくようになっていて、なかなかかっこいい。
タイプ感はちょっと浅めで、「そこそこな品質のアイソレーション型」という印象だが、13.3型の美点である「キーサイズに余裕がある」という点がプラスに働き、タイプの効率そのものはいい。
インターフェース関係も、(重要度は下がっているが)ExpressCardまでサポートしており、足りないと感じるものはない。
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