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最新のデータセンター技術で他社に先駆ける

データセンターで2回目のモテキ?ブロケードのCEO/CTOに聞く

2011年10月24日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp 写真●曽根田元

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「ブロケードといえば、SANスイッチ」というのはもはや過去のイメージかもしれない。ファウンドリーネットワークス(以下、ファウンドリー)の買収で幅広いネットワーク機器を抱えるようになった同社は、データセンターにおいてSANスイッチに続く「2回目のモテキ」を迎えつつある。同社のCEO/CTOにビジネスの現状やデータセンター戦略などを聞いた。

ファウンドリー買収で実を結びつつあるデータセンター戦略

 SANスイッチベンダーのブロケードがファウンドリーを買収したのは2008年にさかのぼる。ファウンドリーはLANスイッチやルーター、アプリケーションスイッチを手がけるネットワーク機器ベンダーで、製品はASICをベースにした高速な処理を売りにしてきた。もとよりSANスイッチ市場で圧倒的なシェアを持っているブロケードが、このファウンドリーを傘下に収めることで、LANの世界にも進出してきたと話題になった。買収後もブロケードのSANスイッチはもちろん、ファウンドリー製のLANスイッチ、ルーター、ADCまで含め、振り落とすことなく、製品開発を着実に続けている。多くのIT企業の買収を見ると、これは珍しいことだとわかる。

米ブロケード CEOのマイケル・クレイコ氏

 米ブロケード CEOのマイケル・クレイコ氏は、「ファウンドリーの買収で、すべてが変わった。両社のソースコードを持ち寄ることで、今後10年のクラウドやデータセンターを支える基盤の製品ができた」と買収の成果をこうアピールする。

他社が追いつけないファブリックでの強み

 同氏がクラウドやデータセンターの基盤として挙げたのが、LANやSANを統合し、ファブリックを実現する新しいデータセンタースイッチ「Brocade VDXシリーズ」であろう。ファブリックは仮想化の普及、データ量の増大、デバイスの多様化といった課題に応えるべく作られたデータセンターの基盤ネットワーク技術だ。

 米ブロケード CTOのデイブ・スティ-ブンス氏は、「従来の階層化されたネットワークは、STP(Spanning Tree Protocol)のおかげで階層間のリンクの40%が未使用だ。また、深い階層でのVLANやルーティングなど階層ごとに障壁があり、仮想マシンの移動を阻害している」と技術面で課題を指摘する。これに対して、ファブリックはフラットなL2ベースのシンプルなネットワークで、ノンストップでの運用を実現。さらに負荷や障害にあわせ仮想マシンがダイナミックに行き来する仮想化に最適化された柔軟性も持ち合わせている。クレイコー氏は、「ストレージの世界では、ファブリックという考え方は15年前からあったが、サーバーの世界ではそれに該当する技術がなかった」ということで、同社がEthernetの世界にファブリックを持ち込んだと説明する。

VDXによるEthernetファブリック

 こうしたLAN/SANの統合やファブリックのメリットは、徐々に浸透しつつある。本社のあるカリフォルニア州サンノゼのEBC(Exective Briefing Center)には前年比で800%という来場者が訪れるほか、ユーザー事例も生まれている。「ある金融機関は、社内の20の部門が異なるネットワークを構築しようとしていた。しかし、弊社のファブリックを活用することで、ネットワークの収束が進み、iSCSIやFCoEなど必要なプロトコルを使えるようになった」(スティーブンス氏)。

 最近では他社の製品発表でもファブリックという概念が見られるが、同社は差別化ポイントがいくつもあるという。クレイコ氏は、「弊社にはハイパフォーマンスな独自ASICがあるし、とにかく複雑なデータセンターで実績を積んでいる。データセンターでデータがどのように動くかを理解している。なにより製品を出荷しているので、ユーザーはすぐに入手できる」と説明した。

OpenFlowになぜ肩入れするのか?

 ブロケードの最近の取り組みで特に興味深いのが、OpenFlowへのコミットだ。データセンターの仮想化対応を促進させるOpenFlowのコミュニティで積極的な活動を行なっており、他社製品との相互接続も進めている。先日行なわれたIT Pro Expo 2011でも、アリスタ、NEC、エクストリームとともにNTTデータのOpenFlowデモに機器を提供しているし、国内にOpenFlowの技術検証施設「OpenFlow Solutions Lab」を設立する。OpenFlow対応のソフトウェアスイッチを推進するベンチャーとも検証などを通して、緊密に交流を行なっているという。

米ブロケード CEOのCTOのデイブ・スティ-ブンス氏

 なぜ同社は、OpenFlowの標準化を推進するのか? スティーブンス氏は「業界標準をサポートすることで、イノベーションを促進するからだ。大規模なネットワークは、そもそもマルチベンダー環境なので、オープン規格をサポートしたほうがベンダーのメリットも大きい」と説明する。

 イノベーションは同社の競争力の源泉だ。ブロケード、ファウンドリーのエンジニアが持つASICノウハウをベースに、最新のデータセンター技術を製品にいち早く盛り込むことで、市場をリードする。クレイコ氏は、「市場で勝ち残っているいく唯一の手段がイノベーションだ。現在、過去6四半期の売り上げのほとんどは、買収後にリリースした製品から生み出されている。これを見れば、われわれがどれだけイノベーションを促進しているかが分かるだろう」と、今後も技術志向の会社であることで競争を勝ち抜いていく姿勢を明確にした。

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