R-26はネットワーク時代の万能レコーダーである
さて、購入して3週間ほど。取材に持っていくと「こっ、この機材は何ですか!?」と、必ず音楽関係者には質問を受けるので、ひょっとしたら見た目もイケているのかも知れない。私も単に大きいだけではなく、質実剛健な頼れる仕事用の機材だなと感じ始めている。
バッテリーの持ちも合格。単3形のバッテリー(アルカリ、ニッケル水素充電池対応)4本。アルカリ電池の場合は「44.1kHz/2トラック、ファントム電源オフで連続使用10時間」がカタログデータで、高性能レコーダーとしては頑張っていると思う。2トラックだったら一日使っても余裕だ。ただ高いサンプリングレートで録音トラックを増やすと相応に消耗するので、予備のバッテリーはあったほうがいい。
もし他と比較検討するなら、指向性と無指向性のステレオマイク内蔵の「TASCAM DR-100」がある。これもミュージシャンのための機材として、あるいはフィールドレコーダーとして素晴らしい製品だが、オーディオインターフェイスはない。オーディオインターフェイスも内蔵する機種としては「ZOOM H4n」がある。こちらはアフレコも可能な4トラックのMTRとしても機能するユ ニークな音楽ツールだが、ループバック機能はない。
PCとの親和性をうたうオーディオツールは多いが、R-26はネットワークとの親和性で評価したい初めてのレコーダーだ。ミュージシャンやエンジニアのために開発されたレコーダーとはいえ、音質の良さはあらゆる職業人にとって正義だ。高性能な内蔵マイクのお陰で、収録音声の解像が滅茶苦茶にいい。おかげで雑踏の中の収録でも会話が聞き取りやすく、原稿に起こすのも非常に楽だし、疲労も少ない。
これで人間の原稿を書くスピードを上げる機械があれば、世の中の大抵の問題は解決するのではないか。お勧めです。
著者紹介――四本淑三
1963年生まれ。高校時代にロッキング・オンで音楽ライターとしてデビューするも、音楽業界に疑問を感じてすぐ引退。現在はインターネット時代ならではの音楽シーンのあり方に興味を持ち、ガジェット音楽やボーカロイドシーンをフォローするフリーライター。