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最新エンタープライズストレージの実力を探る 第6回

ハイエンド製品の技術をミッドレンジに取りこんだ

階層化管理をもっと使いやすく!IBM Storwize V7000の魅力

2011年05月23日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp 写真●曽根田元

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日本アイ・ビー・エム(以下、日本IBM)の「IBM Storwize V7000」は、ストレージの仮想化と階層化を実現するSAN型ストレージである。高い実績を誇る異機種間接続と使いやすいGUIが大きな特徴になっている。製品概要について、日本IBMの担当に聞いた。

豊富な専用機の中で
「仮想化」と「階層化管理」にフォーカス

 IBMのストレージ製品は、ディスクアレイ装置やNAS、テープドライブ、バックアップ専用機など多岐におよんでおり、さらに容量や信頼性などの要件にあわせてハイエンド、ミッドレンジ、エントリーなどに分かれている。日本IBM システム製品テクニカル・セールスの佐野正和氏は「ユニファイドストレージにまとめるという戦略もありますが、弊社はどちらかというと用途に合わせて専用機のラインナップを増やしていく作戦です」と製品のラインナップについてこう語る。

日本IBM システム製品テクニカル・セールス ストレージ・テクニカル・セールス ソリューション担当部長 システムズ&テクノロジー&エバンジェリスト 佐野正和氏

 こうした幅広い製品ラインナップを誇るIBMのストレージ製品のうち、Storwize V7000はミッドレンジに位置づけられるSAN型のディスクアレイ装置だ。同社の「SVCシリーズ」の仮想化技術、「DS8700シリーズ」の階層化機能、そして「XIVシリーズ」の使いやすいGUIなど、ハイエンド製品の技術をミッドレンジクラスに凝縮した。

 まずはハードウェアから見ていこう。Storwize V7000は、2Uのラックマウント筐体にディスクとコントローラーを内蔵し、3.5インチHDDを12台搭載するモデル、そして2.5インチHDD/SSDを計24台搭載するモデルの2つが用意されている。最大9台まで拡張筐体をつなぐことができる。もちろん、コントローラーや電源は二重化されており、RAIDレベルは0/1/5/6/10までをサポート。サーバーへの接続のために8GbpsのFC×8や1Gbps Ethernet×4などのインターフェイスが用意されている。

Storwize V7000の24ドライブ搭載モデル

 このようにハードウェアは汎用的だが、機能面では「仮想化」と「階層化管理」を中心に、シンプロビジョニングや同期・非同期の高速コピー機能、RAIDグループやプールをまたいだボリュームのミラーリングなどリッチな機能を標準で提供する。

異機種接続も可能!柔軟なプール化が実現

 このうち特にアピールしているのが仮想化と階層化管理の機能だ。もとより、IBMはストレージの効率的な利用のため、統合と仮想化を用いたプール化を推進している。個別のアプリケーションに個別のストレージではなく、ストレージを統合することでプール化し、無駄な領域を有効活用したり、投資を抑えたり、パフォーマンスを向上させるわけだ。

 このプール化の手法については大きく2つあり、「1つのストレージを仮想的に分割する方法を用いれば、シンプルでとにかく手間はかかりません。もう1つ複数のストレージを束ねて、重要度にあわせて階層化管理をする方法も可能です」(佐野氏)という。Storwize V7000は、後者の階層化を用いてデータ管理できるストレージとのことだ。

ストレージのプールを実現する2つの手法

 Storwize V7000ではRAIDグループを統合した巨大なストレージプールを作り、これを最大2048個のボリュームに切り出してホストに対して提供できる。物理容量以上の容量を仮想的に見せかけるシンプロビジョニングに対応しているので、ボリュームは動的に拡張可能。また、キャッシュメモリ、SSD、2.5インチHDD、3.5インチのニアラインSAS HDD、SAS HDDなど性質の異なる媒体にデータを分散的に管理する「EasyTier」という階層化管理の機能を用いることができる。「SSDは高価なので、アクセスされないデータが居座られても困ります。ですけど、EasyTierであれば気を利かせて、過去24時間を振り返り、ボリューム内のアクセス頻度の高いブロックのみをSSDに自動配置してくれます。もちろん、手動での配置することも可能です」(佐野氏)という機能だ。これによりストレージの利用効率を向上させ、コストも大きくセーブできる。

Storwize V7000の階層化管理機能

 さらにStorwize V7000では、オプションで異機種間接続をサポートしているのが大きな売りだ。IBMの各種ストレージはもちろん、EMC、日立製作所、ネットアップ、サン・マイクロシステムズ(現オラクル)、富士通、NECなどのストレージを相互接続し、ユーザーから単一のボリュームとして扱うことができる。こうした相互接続が可能なのも、異機種間接続に以前から取り組んできたSVC(SAN Volume Controller)の技術を採用しているからだ。「SVCも2003年くらいからはじめて、顧客の要望を聞いていたら、いつのまにか150種類くらいサポートするようになっていました。異機種間接続にここまで力を入れているのは、うちくらいかもしれません」(佐野氏)とのこと。サーバーの稼働中に異機種間でデータをマイグレーションさせたり、EasyTierで階層化管理を行なうことも可能になっている。

(次ページ、秀逸なGUIはXIV譲りの使い勝手)


 

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