実はさるハゲ出身で
―― 自分は芸人だと思いますか、音楽家だと思いますか?
サイモンガー 音楽家だと思っています。ミュージシャンを目指していた時期はありましたし、そもそも目指してなかったら東京に来ていないので。
―― 失礼ながら、それは意外な気が。たとえば宮崎吐夢さんなんかと仕事しているじゃないですか。パフォーマンスがファンクをネタにしたスタンドアップコメディーみたいなので、笑かす方向なのかと思っていました。
サイモンガー 彼の音楽にはオチがあるじゃないですか。俺はオチを付けないんです。オチがあるとそこで聴き終わってしまうので。ファンクというのは持続性の音楽だと思うので、答えを出さずに続いていく感じというのが、自分のテーマとしてあります。
―― 宮崎吐夢さんとは、どういうつながりなんですか?
サイモンガー あ、この話をしなくちゃならないのか……。あの、僕の中学の同級生で、宮崎吐夢さんのDVDで絵を描いたり曲を書いたりしている、四本さんの大嫌いなロッキング・オン社の雑誌でマンガを描いていたりするような男がいるんですけど……。
―― あ、いいですよ。会社が嫌いなわけじゃないですから、嫌いな人がいただけで。
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ニャ夢ウェイ |
サイモンガー あ、そうですか。河井克夫というオトコで、松尾スズキさんと組んで「ニャ夢ウェイ」というマンガを描いているんですけど、彼が中学の同級生なんです。
―― そういえばサイモンガーさんと河井さんは、アーバンギャルズというバンドをやってましたよね(現在活動休止中)。なるほどー。
サイモンガー 彼は中学の頃からサブカルの王者みたいな人で、自分も相当影響を受けました。彼がこっちに出てきて、しりあがり寿さんのアシスタントになったんです。そして「TECH Win」※という雑誌の連載「さるやまハゲの助アワー」を、実質的に彼が回すようになり。
※ TECH Win : 1993年にアスキー『LOGiN』の増刊『TECH LOGiN』としてスタート。その後『TECH Win』として月刊化され、雑誌としては初のCD-ROM連載があり、その中にしりあがり寿の「さるやまハゲの助アワー」があった。「ねえ、開国してくださいよお~」でおなじみ「ペリーのお願い」は、これがネットで人気になったもの。
―― それは意外と世の中狭い!
サイモンガー その流れで、僕も2003年くらいから「さるやまハゲの助アワー」で「サイモンガーの◯◯」という連載をやらせていただきました。ファンク落ち武者という設定で、読者からの質問を受けるという。でも始まって5回目で、さるやまハゲの助アワーがなくなっちゃうんですよね。
―― しりあがり寿さん主催の 「さるハゲロックフェス」というイベントにも出てらっしゃいましたよね。じゃあサイモンガーさんも由緒正しいサブカル人じゃないですか。
サイモンガー 正直言ってミュージシャンより漫画家の知り合いのほうが多いです。
―― でも似たような人は全然現われないですよね。電池楽器一本で昔のフォークシンガーのようにファンクがやれるという人。
サイモンガー それなんですよ、狙いは。本当はDSだけでやりたいですよね。でもそうすると間が持たないので、不安になってどんどん楽器が増えていくんですけど。それに、比べられて切磋琢磨できないという弊害が……。
(次ページに続く)
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