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横浜に移転したレノボ大和研究所で聞く

教えることをケチるな、ThinkPad開発者・内藤氏

2011年04月19日 09時00分更新

文● 大河原克行

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 レノボ・ジャパンの新たな大和研究所が、いよいよ本格的に稼働した。

 2011年1月4日から、神奈川県横浜市のみなとみらいに移転し、業務を開始していたが、4月に試験設備などがすべて搬入され、研究開発拠点としての体制が完全に整ったからだ。

神奈川県横浜市のみなとみらい地区にある「みなとみらいセンタービル」に大和研究所は入居する

 また、大和研究所の所長を務めていたレノボ・ジャパンの内藤在正取締役副社長が、レノボ製品全般を担当するグループ チーフ・デベロップメント・オフィサー(CDO)に就任。

 ThinkPadの開発責任者には、長年に渡り、ThinkPadの開発に携わってきた横田聡一常務執行役員が就任した。

 新たな大和研究所は、どんな役割を果たすのか。内藤氏を筆頭とする製品開発の体制はどんな影響を及ぼすのか。そして、NECとの合弁によってレノボの研究開発体制はどうなるのか。内藤CDOと横田常務執行役員に話を聞いた。


誤解を恐れずにいうなら、鈍感さがあった

── 最初に、大和研究所をみなとみらいへ移転した理由について教えてください。

レノボ・ジャパンの内藤在正取締役副社長

内藤 もともと大和研究所は、日本IBMの大和事業所の中にありました。日本IBM時代から使用してきた研究所ですが、レノボ・ジャパン発足から5年間という契約があり、それが2011年3月末に切れたわけです。大和研究所は、ラーレイ、北京と並ぶ「イノベーション・トライアングル」を担う拠点として位置づけてられており、新たな場所に移転することで、自分たちでコントロールできる環境にしたいという思いもありました。候補地は約2年前から探し始めており、いい条件の場所を見つけることができたと考えています。

── 新たな大和研究所の立地として、どんな条件を掲げましたか。

内藤 まずは社員が自宅を引っ越さなくても通える範囲にしたいということです。また、これまで大和研究所で使用していた試験設備や、今後必要とされる試験設備が導入できる場所であるということも重要な要素でした。

── 従来の大和研究所は、最寄りの中央林間駅から徒歩15分もかかる閑静な住宅地のなかにあり、緑に囲まれた環境でした。今度は、横浜市という都会のなかであり、港の先端部にある。地下鉄の駅とも直結しています。かなり雰囲気が違いますね。

内藤 環境を大きく変えるということは必要だと思います。それとこんな風にも考えています。IBMが研究している内容はじっくりと研究するものが多く、閑静な場所の方が適している。しかし、PC事業のように回転が速く、世界の動きを敏感に捉え、研究、開発する製品は、やはり都心の方がいい。みなとみらいという立地は、自ずと世界に通じていることや、世界との近い距離感を感じるものですよ。

横田聡一常務執行役員

横田 誤解を恐れずにいえば、従来の大和研究所の社員はやや流れに鈍感なところがあったのではないでしょうか。私も、従来の大和研究所であれば、5km以内の場所に自宅があり、車で通勤することができた。エンジニアの多くも徒歩だったり、自転車だったりというスタイルでした。

 しかし、こちらに移転してきて、電車で通勤するようになり、車内吊りでこんなことが出ていたとか、どんなデバイスが車内で利用されているのかということが、共通の認識として理解できるようになった。世の中の動きに敏感に反応するようになったという気がします。新たな大和研究所に移転してから、開発コンセプトを固める時に、視野の幅が広くなり、深いところまで議論するようになったという感じはしていますね。

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