日々、秋葉原を歩き待っているわれわれメディア関係者でさえ、たまにふと「アレ?これは新製品だっけ?」とか、「すでに発売していたような……」などと分からなくなる事がままある。それだけ日々なにかしらの新製品が発売されているわけだが、たまにふと思うことがある。
「PCパーツってよくもまぁ毎日新製品があるよなぁ」
と。それを生業としている自分が改めて言うのも変な話というか、むしろ間抜けな話ではあるのだが「それでもやっぱり変わった世界だな」などと思ってしまうのである。
さて、筆者が感傷に浸るのはほっといてもらうとして、久々にアキバを訪れるユーザーの皆さんにとっては「そろそろ最新PCを自作しようと思ったけど、なんだか知らないワードが飛び交っていて不安」などと思う人も多いはず。
「“Sandy Bridge”ってなに?」
「“Fusion APU”は?」
「HDDって今はこんない安いのか?」
「SATA3.0対応SSDって速いの?」
「そもそも秋葉原の駅がすげー綺麗になってるんですけど……」
等々の疑問に答えていこうと言うのが今特集の趣旨である。それでは早速、2010年~2011年にかけてのPCパーツのトレンドを一気に振り返っていこう。第1回の今回は基幹パーツである「CPU、マザー、メモリ編」だ。
2010年から2011年の最新CPU事情
CPU(Central Processing Unit)はその名が示すとおり、PCパーツにおいて中心的な存在だ。CPUが変わると、CPUソケットやチップセットが変わるため必然的にマザーボードが変更される。性能を最大限に発揮するためには、場合によっては対応メモリや拡張スロットも変わり、プラットフォームが一新されることだってあるわけだ。そこで第1回となる今回はこの1年の「CPU」の話題を中心に、マザーボードやメモリのトレンドも合わせて確認していこう。
コア数には大きな変化なし
6コアCPUがより身近な存在に
アプリケーション側のマルチコア対応が進んできている。これまで動画エンコードやレンダリングといった一部のアプリケーションでしかその効果を実感できなかったが、昨年発売されたOffice 2010では全面的にプログラムコードが見直されマルチスレッド化された。また、ゲームでもマルチスレッド対応の製品が増えてきており、これまで以上にマルチコアを有効に使えるような環境になっている。
コア数と混同しがちなのが、Intelの「Hyper-Threading」だ。こちらはCPUのレジスタやパイプライン処理の空き時間を有効利用して、1つのコアをあたかも2つのコアがあるかのように見せかける技術だ。そのためOS上からはあたかも倍のコアが搭載されているかのように見える。ただし、実際の処理能力が上がるかはアプリケーションに依存する部分が多く、ゲームなどでは無効にした方が速くなることもあるため、自分が使うアプリケーションによって見極めるといいだろう。
使用するコア数によって、自動オーバークロック
「Core i」シリーズや「Phenom II」のようなマルチコアCPUは、すべてのコアがフルに稼働した状況を想定して設計されている。そのため4コアや6コアのようにコア数が多くなると、シングルスレッドの処理を実行する場合、残りのコアは休止状態となり余裕が生まれることになる。その分コアのクロックを自動的に引き上げることでCPUを効率よく利用するのがIntelの「TurboBoost」やAMDの「TurboCore」といった機能だ。これらの機能はBIOS上で有効にしておけば、CPUの負荷に応じて自動で行なわれるため、ユーザーが特に意識する必要はない。
GPUとの統合が進むCPU
2010年1月に発表された「Clarkdale」はデスクトップCPUとしては初めてGPUを統合した製品だった。しかし、実際にはCPUの製造プロセスが32nm、GPUの製造プロセスが45nmとそれぞれ異なっているため、別ダイとなっており2つのダイを1つのパッケージに収めたものだった。
一方、2011年1月に発表された「Sandy Bridge」では製造プロセスが32nmに統一され、1つのダイとなり完全に統合されている。
また、AMDからも同社初のCPU/GPU統合プロセッサ「Fusion APU」が発表されるなどCPUとGPUの統合が進んだ1年となった。
統合によってCPU-GPU間の内部バスを使用した高速なデータ転送や、冷却効率の向上、熱設計の簡易化などのメリットを考えると今後もこの流れは加速していくはずだ。
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