短命に終わった「LGA 1156」プラットフォーム
約1年半と短命に終わったLGA 1156プラットフォーム。既にメインストリーム向けとしてLGA 1155が登場しているため、新規にPCを組む場合には選択するメリットはない。しかし、LGA 1155とLGA 1156ではCPUの性能に大きな違いはなく、まだ十分現役で使うことができるというのも事実。価格も下がり、手頃になっているため、既存環境のアップグレード用として購入するというならありだろう。
LGA 1156のCPUにはGPU機能を内蔵しない4コア製品「Lynnfield」とGPUを統合した2コア製品「Clarkdale」の2種類がある。特にClarkdaleはIntelのデスクトップCPUとしては初めてGPUを統合したCPUということで、非常に大きな意味を持つ製品となった。現在の主なラインナップは以下の通りだ。
LGA1156 CPUスペック表 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
CPU | Core i7-875K | Core i7-870 | Core i7-870S | Core i5-760 | Core i5-680 | Core i5-661 |
開発コード | Lynfield | Lynfield | Lynfield | Lynfield | Clarkdale | Clarkdale |
プロセスルール | 45nm | 45nm | 45nm | 45nm | 32nm | 32nm |
コア数 | 4 | 4 | 4 | 4 | 2 | 2 |
Hyper-Threading | ○ | ○ | ○ | - | ○ | ○ |
論理CPU数 | 8 | 8 | 8 | 4 | 4 | 4 |
動作クロック | 2.93GHz | 2.93GHz | 2.6GHz | 2.8GHz | 3.6GHz | 3.46GHz |
TurboCore時クロック | 3.6GHz | 3.6GHz | 3.6GHz | 3.33GHz | 3.86GHz | 3.73GHz |
L2キャッシュ | 256KB×4 | 256KB×4 | 256KB×4 | 256KB×4 | 256KB×2 | 256KB×2 |
L3キャッシュ | 8MB | 8MB | 8MB | 8MB | 4MB | 4MB |
内蔵GPU | - | - | - | - | ○ | ○ |
内蔵GPUクロック | - | - | - | - | 733MHz | 900MHz |
TDP | 95W | 95W | 82W | 95W | 73W | 73W |
CPU | Core i5-655K | Core i5-650 | Core i3-560 | Core i3-550 | Core i3-540 | Pentium G6950 |
開発コード | Clarkdale | Clarkdale | Clarkdale | Clarkdale | Clarkdale | Clarkdale |
プロセスルール | 32nm | 32nm | 32nm | 32nm | 32nm | 32nm |
コア数 | 2 | 2 | 2 | 2 | 2 | 2 |
Hyper-Threading | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | - |
論理CPU数 | 4 | 4 | 4 | 4 | 4 | 2 |
動作クロック | 3.2GHz | 3.2GHz | 3.33GHz | 3.2GHz | 3.06GHz | 2.8GHz |
TurboCore時クロック | 3.46GHz | 3.46GHz | - | - | - | - |
L2キャッシュ | 256KB×2 | 256KB×2 | 256KB×2 | 256KB×2 | 256KB×2 | 256KB×2 |
L3キャッシュ | 4MB | 4MB | 4MB | 4MB | 4MB | 3MB |
内蔵GPU | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
内蔵GPUクロック | 733MHz | 733MHz | 733MHz | 733MHz | 733MHz | 533MHz |
TDP | 73W | 73W | 73W | 73W | 73W | 73W |
LGA 1156に対応するCPUは「Core i7」から「Pentium G」まで幅広いラインナップが用意されている。さらに、2010年6月には普及価格帯のIntel製CPUプロセッサとしては久しぶりに倍率固定が解除された「Core i7-875K」と「Core i5-655K」が発売された。
倍率変更によるオーバークロックはベースクロックを設定する方法に比べると簡単で、さらにCPU自体のオーバークロック耐性も高いため自作市場では人気の製品となった。ただし、これらの製品にはCPUクーラーは付属しないので、別途用意する必要がある。
また、省電力向けとしてTDPが下げられた「Core i7-870S」も用意されているが、動作クロックが2.93GHzから2.66GHzへとダウンクロックされているので購入する際には注意してほしい。
LGA 1156対応マザーボード
LGA 1156に対応するコンシューマ向けのチップセットは「Intel P55 Express」(以下、P55)、「Intel H57 Express」(以下、H57)と「Intel H55 Express」(以下、H55)の3種類。そのうち内蔵グラフィック機能に対応するのは「H57」と「H55」の2つ。
LGA1156 チップセット表 | |||
---|---|---|---|
チップセット | Intel P55 Express | Intel H57 Express | Intel H55 Express |
メモリスロット | 4スロット | 4スロット | 4スロット |
USB 2.0 | 14ポート | 14ポート | 12ポート |
SATA2 | 4ポート | 4ポート | 4ポート |
RAID | 0/1/5/10 | 0/1/5/10 | - |
内蔵GPU | - | 対応 | 対応 |
P55を使う場合は別途ビデオカードが必須となる。いずれのチップセットもSATA3.0やUSB3.0には対応しないため、サードパーティ製の別チップによって対応させた製品が多く発売されている。ただし、チップセットの仕様によりPCI Expressの帯域が不足し、転送速度が制限されることがあるため注意が必要。別途ブリッジチップを搭載して帯域不足を解消した製品も存在するので、最新のインタフェースを使う場合はそちらを選択するといいだろう。
また、ASRockからはLGA 1155用チップセットのP67を搭載した「B3 P67 Transformer」が発売されている。この製品を使えば帯域問題を気にする必要はない。
いまだだに発売され続けるLGA 775
2004年の「Pentium4」から脈々と続くLGA 775は、「Pentium」や「Celeron」といった1万円以下の廉価版CPUという市場において、いまだ新製品が販売されつづける息の長いプラットフォームだ。秋葉原での入手性もまだまだ良い状態が続いているため、今回はあえて紹介することにした。現在の主なラインナップは以下のとおり。
LGA775 CPUスペック表 | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
CPU | Core 2 Quad Q9650 | Core 2 Quad Q9550 | Core 2 Quad Q8400 | Core 2 Duo E8500 | Core 2 Duo E8400 | Core 2 Duo E7600 | Core 2 Duo E7500 |
プロセスルール | 45nm | ||||||
コア数 | 4 | 4 | 4 | 2 | 2 | 2 | 2 |
動作クロック | 3GHz | 2.8GHz | 2.5GHz | 3.16GHz | 3GHz | 3.06GHz | 2.93GHz |
FSB | 1333MHz | 1333MHz | 1333MHz | 1333MHz | 1333MHz | 1066MHz | 1066MHz |
L2キャッシュ | 6MB×2 | 6MB×2 | 3MB×2 | 6MB | 6MB | 3MB | 3MB |
TDP | 95W | 95W | 95W | 65W | 65W | 65W | 65W |
CPU | Pentium E6700 | Pentium E6500 | Pentium E5800 | Pentium E5400 | Celeron E3500 | Celeron E3400 | |
プロセスルール | 45nm | ||||||
コア数 | 2 | ||||||
動作クロック | 3.2GHz | 2.93GHz | 3.2GHz | 2.7GHz | 2.7GHz | 2.6GHz | |
FSB | 1066MHz | 1066MHz | 800MHz | 800MHz | 800MHz | 800MHz | |
L2キャッシュ | 2MB | 2MB | 2MB | 2MB | 1MB | 1MB | |
TDP | 65W |
既に2世代前のプラットフォームとなるため、将来性を考えると新規PCとしてはまずおすすめできない。さらに「Core 2 Quad」や「Core 2 Duo」の上位モデルは値段があまり下がっていないため、アップグレードするならプラットフォームごとの乗り換えを考えたほうがいい。
一方で、「Pentium」は6000円前後から、「Celeron」なら4000円前後から購入可能となっており、とにかくIntel製CPUで安く組みたい場合やマシン入れ替えで余ったパーツを使って2ndマシンを組む場合などには候補とするのもありかもしれない。
LGA 775対応マザーボード
現在入手できるLGA 775対応マザーボードは、ビデオ機能が統合されたチップセット「G41」や「G31」を搭載した製品が主流で、5000円~6000円前後と安価なものがほとんどだ。使用可能なメモリはマザーボードによって異なるがDDR2またはDDR3で、メモリスロットは2枚までの製品が多い。
小型/省電力向けプラットフォーム向け「Atom」プロセッサ
小型/省電力向けの「Atom」プロセッサだが、デスクトップ向けの製品も用意されているため自作が可能だ。現在発売されているAtomはCPUとGPUが同一ダイに統合されており、第一世代から大きく消費電力が削減されている。
省電力を重視した設計のため性能は同クロックのデスクトップCPUと比較しても低いものの、TDPはデュアルコアで13W、シングルコアでは10Wと大きく削減されている。また、CPUの性能を補うために「Hyper-Threading」を搭載し、マルチタスク環境での性能を向上させているのも特徴だ。
Atom スペック表 | ||||
---|---|---|---|---|
CPU | Atom D410 | Atom D425KT | Atom D510 | Atom D525 |
プロセスルール | 45nm | |||
コア数 | 1 | 1 | 2 | 2 |
Hyper-Threading | ○ | |||
動作クロック | 1.66GHz | 1.8GHz | 1.66GHz | 1.8GHz |
L2キャッシュ | 512KB | 512KB | 512KB×2 | 512KB×2 |
対応メモリ | DDR2-667/800 | DDR3-1066/800 | DDR2-667/800 | DDR3-1066/800 |
TDP | 10W | 10W | 13W | 13W |
Atomプロセッサは単体販売されていないため、マザーボードに組み込まれた状態で購入することになる。現在市場にあるほとんどの製品がMini-ITXサイズで、小型かつ省電力マシンを構築したい場合には良い選択肢となるだろう。また、Atomプロセッサのグラフィック機能を強化するため、NVIDIA製「ION2」を搭載した製品も発売されている。
(次ページへ続く)
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