新JavaScriptエンジン「JaegerMonkey」
Firefox 4.0では、新しいJavaScriptエンジン「JaegerMonkey」(イエーガーモンキー)を採用することで、ベンチマークテストによってはFirefox 3.6と比べて、3~6倍もの性能向上を実現したという。
HTML5では多くの処理にJavaScriptが使われているので、JavaScriptエンジンの性能向上は、HTML5の処理性能向上にもつながる。
そのほかにセキュリティー面の改良としては、ユーザーが「行動ターゲティング広告」を拒否できる機能「Do Not Track」(DNT)が実装された。DNTはデフォルトではオフになっている。オプションから「詳細」→「一般」の「トラッキングの拒否をウェブサイトに通知する」をオンにすると、DNTに対応したサイトなら、ユーザーの行動を追跡して広告を表示することがなくなる。
ただしウェブサイト側がDNTに対応している必要があるため、Firefox側でDNTを有効にしても、すべてのウェブサイトでターゲティング広告が拒否されるわけではない。
機敏な動作に便利な機能
既存ユーザーならアップデートを強く推奨
実際にFirefox 4.0を使ってみると、Firefox 3.X系と違ってさくさく起動するし、動作も機敏だ。個人的にもFirefox 4.0に移行して良かったと感じる。現時点では、Firefox 3.X系を使用しているユーザーは、「更新の確認」で選択するか、Mozillaのサイトからダウンロードする必要がある。Mozillaでは「Firefox 4.0への自動アップデートを5月から開始する」としている。
肝心のHTML5に関しては、まだコンテンツが増えていないためメリットを感じるシーンは少ない。しかし、GmailやGoogleマップなどのJavaScriptを多用したページは、新しいJaegerMonkeyのおかげで、小気味いいレスポンスで動くようになった。
またFirefox 4.0では、GPUアクセラレーションが一部のHTML5コマンドに限定されているため、HTML5の表示性能はまだ満足できるレベルには至っていない。将来的にHTML5コンテンツが多くなれば、今後のFirefoxではよりGPUアクセラレーションの強化が進むだろう。逆に言えば、HTML5コンテンツの少ない現状では、それほど不便は感じない。
Firefox 4.0を使ってみて非常に便利なのは、Firefox Syncの機能だ。複数のパソコンを駆使するユーザーにとっては、Firefox 4.0をインストールしておくだけで、ブックマークや履歴が同期できるのだから便利で当然。外部のサービスやアドオンを使う同期ソリューションはいろいろあるが、Firefox 4.0本体で利用できるのがありがたい。
ブックマークやパスワード、履歴などの情報は、Mozillaが用意している専用サーバーに暗号化して保存される。そのため、重要なデータが流出する可能性は低い。もしそれでも安心できないなら、ブックマークや履歴だけ同期して、パスワードは同期しないといった設定も行なえる。
Firefox 4.0との互換性がないアドオンがまだ多いという問題はあるが、現在Firefoxを使用しているユーザーなら、是非ともFirefox 4.0へのバージョンアップをお薦めする。