あなたの知らないWindows 第38回
Internet Explorer 9β版レビュー Part4
新世代ブラウザー対決! IE9対Firefox 4対Chromium
2010年10月28日 12時00分更新
前回は、Internet Explorer 9(以下IE9)がGPUの違いによって、どの程度パフォーマンスが変わるを検証した。今回は、IE9のライバルといえるウェブブラウザー、「Chrome」「Firefox」とのパフォーマンスや互換性を比較してみたい。
IE9β vs Firefox 4β vs Chromium
IE9ではHTML5やGPUレンダリングへの対応のほか、JavaScriptのマルチコア対応など、さまざまな部分でパフォーマンス向上の改良がなされている。
一方、ChromeやFirefoxは、IE9に先立って現バージョンでHTML5の一部に対応しているほか、JavaScriptの処理速度も速い。ただし、HTML5はフルサポートというわけではない。これは、HTML5が広範な規格をサポートしているため、機能が複雑化しているほか、規格の最終版がなかなか完成しなかったということも大きな理由だ。
そこで今回はIE9β版と比較するために、Firefox 4β版、Chromeはβ版ではなく、「Chromium」の「Canary」ビルド※1を使用した。同ビルドは「Chrome 8」になると思われる。
※1 Chromeのオープンソース版で、Chromeのベースとなっている。1週間に1度ビルドされている。
Firefox 4βはIE9と同様に、Windows版はDirectX(D2D、DirectWrite)をサポートしている。しかし、テストしたChromiumのCanaryビルドでは、DirectXはサポートされていないようだ。そのためChromiumに関しては、JavaScriptやHTML5などのベンチマークや互換性テストなどを中心に検証した。
ただし、IE9、Firefox、Chromiumのすべてはβ版か開発者バージョンであるため、厳密なベンチマークテストというわけではない。今後、パフォーマンスが大幅に上がったり、互換性が増したりする可能性が高い。
GPUをうまく使っているのはIE9β
まずはGPUレンダリングのテストとして、「IE9 TestDrive」の「Speed Reading」と「FishIE Tank」、「Flying Images」を計測してみた。テスト環境はCPU Core i5-660(3.33GHz)、チップセットはIntel Q57、GPUはCPU内蔵を使用し、メモリー4GB、HDDは500GB。
まずウェブブラウザーのロゴイメージを回転させるFlying Imagesは、IE9β版とFirefox 4β版では、それほどパフォーマンスに違いはなかった。ロゴの数を256個まで増やしてみたが、違いは見られなかった。
しかし、FishIE Tankでは、魚の数を増やす(1000匹)と一気にFirefox 4β版の性能が落ちている。これは、IE9βでは効率よくDirectXの機能を使っているが、Firefox 4βではチューニングが進んでいないということだろうか。
IE9βがGPU機能を十分に生かしているのがわかるのが、Speed Readingテストだ。このテストは、空港などにある飛行機の離発着を知らせるボードをイメージしたものだ。文字が書かれたボードがパタパタと切り替わる。
IE9βでは、十分なスピードで表示されている。しかしFirefox 4βでは、ボードが切り替わるのが目で見えるぐらいの遅さだ。ChromiumはGPUをサポートしていないため比較対象としていないが、Firefox 4β並のスピードだった。Firefox 4βでは、まだGPUレンダリングが十分機能していないようだ。こうした要素はやはり、DirectXを開発しているマイクロソフトに一日の長があるかもしれない。
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