iPhoneやiPadでOS X上の動画を視聴する
Air Videoのセットアップはとても簡単。まずは、開発元のInMethodサイトから「Air+Video+Server+2.4.3.dmg」(1月11日現在)をダウンロードする。次に、このdmgファイル内の「Air Video Server」を「アプリケーション」(Applications)フォルダーにコピーしたあとで起動する。あとは、Preferences画面の「Shared Folders」タブで、動画ファイルが置かれたフォルダーを登録すればOK。OS X側の準備は、基本的にこれだけだ。
続いてiOSデバイス側の準備。App Storeから専用クライアント「Air Video」(350円)または「Air Video Free」(無料)をダウンロードし、サーバーとしてAir Video Serverが起動している状態のOS Xを登録すればいい(サーバーの検出は自動的に行なわれるので手間はない)。なお、無償版は一度に再生候補を最大4つまでしか表示できないことを除けば、機能的な制限はない。
視聴する場合には、専用クライアントでサーバー(OS X)を選択し、そこで公開されているフォルダーを選択すると、再生可能な動画が自動的にリストアップされる。再生対象を選び、MP4などiOSがネイティブ対応する動画であれば「Play」を、WMVなどトランスコードが必要な動画であれば「Play with Live Conversion」をタップすればいい。あとは、Air Videoがよしなに処理してくれる。
対応する動画フォーマットは、開発元のWebサイトには明示されていないが、トランスコードエンジンに採用されているFFmpegが対応するフォーマットが利用できると推定される。実際、WMV 8/9とDivX、XviD、MKV(H.264+Vorbis)、MPEG-2+AC3、そしてFLVと、主要な動画フォーマットは音ズレや致命的な映像の破綻などなくひととおり再生できた。
気になる再生品質だが、iPhone 4で見るにはそれなりに納得できるレベルといえる。AVIやWMVなどMP4以外の(iOS 4がネイティブサポートしない)フォーマットは、再エンコードに伴うモスキートノイズの発生は避けられないが、高精細とはいえど3.5型の画面サイズゆえに、それほど気にならないのだ。iPadでは多少ノイズが目立つが、イージーな操作性と引き換えに許せようというもの。
ところで、Air VideoにはOS X版クライアント(Mac AirVideo Client.zip)も用意されている。こちらの最新バージョンでは、AirPlay互換の配信ソフト「AirFlick」へURLを送信することで、第2世代Apple TVでの視聴を可能にしている。iOS版と併せて活用するといいだろう。
筆者紹介──海上忍
ITジャーナリスト・コラムニスト。アップル製品のほか、UNIX系OSやオープンソースソフトウェアを得意分野とする。現役のNEXTSTEP 3.3Jユーザーにして大のデジタルガジェット好き。近著には「改訂版 Mac OS X ターミナルコマンド ポケットリファレンス」(技術評論社刊、Amazon.co.jpで見る)など。
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