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白組に聞く、ホンモノを生み出す制作環境

もやしもん支えた、デルのハードウェア

2010年11月17日 09時00分更新

文● TECH.ASCII.jp編集部

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自作主体の環境から、ベンダーのソリューションへ

 以上もやしもんの制作工程の一端を紹介した。ふだん何気なく見ている映像が制作者の細かな作業の積み重ねによって成立しており、クオリティーの向上のために高いマシンパワーが求められることがイメージできたのではないだろうか。

 膨大な計算が必要となる3D/VFX処理を支える白組の制作システムはどうなっているのだろうか。白組では現在5つのスタジオで約200名が働いており、デルを中心に、複数ベンダーから調達したマシンを活用している。

白組システム部の鈴木 勝部長

 白組でシステム部の部長を務める鈴木 勝さんから、システム選定に関してどのような基準を設けているか、うかがうことができた。

 鈴木さんによると、「アニメーション制作に適したマシンがないということで、以前はレンダリングサーバーを自作したり、タワー型のファイルサーバーを活用していた時期もあった」という。しかし、ハードウェア構成がマシンごとに変わると、ドライバーやソフトウェア環境の統一が難しくなる。現在では、メーカー製のワークステーションに一斉に乗り換え、ラック型ファイルサーバーの導入も進めているそうだ。

 白組のシステムは、アーチストが実際に操作するクライアント環境(ワークステーション)と、レンダリングサーバーやファイルサーバーからなるサーバー環境(サーバールームに格納)の大きく2つに分けられる。

システム構築のイメージ。左が現在、右が過去のもの。タワー型サーバーから、ラック型サーバーへの移行が進んだことが見て取れる

 ファイルサーバ(PowerVault NF100/500/NX3000シリーズ)は現在30台ほど導入されており、それぞれにDAS 16TBのRAIDユニットを追加している。従来はタワー型サーバーとラック型サーバーが共存した環境だったが、現在ではラック型のWindows Storage Serverが中心となっている。バックアップに関しては、2倍の容量を用意し、Disk to Diskで二重化しているという。

 求められる容量は年々増える傾向にある。今年は10Gbpsのネットワークでサーバールームを統一してより高速化を図っていくという。

 レンダリングサーバーに関してはWindowsクライアントが使える点とサイズが小さいという点で、ワークステーション(Precisionシリーズ)だけでなく、デスクトップ(OptiPlex 980/960シリーズ)も300台前後使われている。今後はブレードサーバーの導入も視野に入れたいという。ただし、ブレードサーバーではクライアントOSを導入できないため、アプリケーションの資産を活かせるかどうかが課題だ。電源効率や集積効率が高く、OptiPlexシリーズよりもメモリー搭載量が多いという利点もあるが、メリット・デメリットを考慮しながら検討する段階にあるという。

Precisionシリーズの導入は、スペックだけでなく、筺体そのものの堅牢性や内部アクセスのしやすさなども考慮した結果

 ワークステーションでは、Precision 490/Precision T3400/Precision T3500を200台弱導入。選定に関しては、CPU/メモリー/ビデオカード/HDDなどパーツごとに基準を設けている。OSに関しては一部ダウングレード権を行使して、Windows XP を使用しているが、64bit版のWindows 7に統一する予定。3dsMaxなどのアプリケーションを動作させる際には、Windowsのほうが都合がいいという。また、メモリーを大きくつめるということもあり、64bit化は必須と考えているようだ。

 作業中のデータを確実に保管すると言う意味でHDDは重要。容量の多寡だけでなく、故障などがあった際にも作業を止めずに済むどうかが問われる。その意味で重宝しているのが、メーカーのサポートだそうだ。3年、5年といった長期の保守のサービスが出てきているが、デルを例にとると、オプションのHDD返却不要サービスに加入していれば、HDDが故障した際でも代替パーツを出してくれる。HDDの返却も必要ない。

 バックアップ環境などの整備はもちろんだが、保証の範囲内でこうした対応が受けられれば、安心感が高まる。

 またプロジェクトごとに、複数のスタジオで機材を融通しあうという背景もあり、本体の堅牢性も重要だ。Precisionを導入した理由として「この堅牢性もポイントとなった」と鈴木さんは話す。またツールレスで内部にアクセスできる点や、上部が平らであるため限られた設置スペースを効率的に使えるという点も評価しているという。

 またワークステーションやサーバーだけでなく、ディスプレーやペンタブレット、複合機などの周辺機器の調達、アップデータやライセンスの管理なども重要な仕事となる。ディスプレーに関しては、カラーキャリブレーション機能を備えるだけでなく、パネルも統一してより正確な色合わせができるよう配慮している。

 制作現場では、画面を囲んで打ち合わせや確認するといったニーズがあるため、視野角の広さも重要。IPSパネルを採用したモニターは必須だと言う。メーカーとしては、マスターモニターの色調に近いということで、NEC製が多いとのこと。ほかにナナオの製品も用いている。

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