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開発者が語りつくした! 「KORG M01」が出来るまで【後編】

2010年10月09日 12時00分更新

文● 四本淑三

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PCMデータを単純に移植したわけではない

―― 音源になっているPCMデータはどうしたんですか? もともとあるPCMライブラリを使っていたりとか?

金森 「KORGレガシーコレクション」のデータも一部使っていますが、M01にはフィルターのようなものはないわけです。PCMデータをそのまま持ってきても、同じ音にならないものがたくさんあるんですよね。だから、M1の実機のラインアウトから録り直したりもしています。

PCM音源をソフトウェア化している「KORGレガシーコレクション」

―― そうですか。今回は単純にPCM音源を提供しただけかと思っていたんですよね。コルグさんがやるにしては楽な仕事だなぁ、と。

佐藤 いーや、コルグはそんな楽な仕事はしませんよ!

―― やっ、それは失礼しました!

金森 とくに、M1のPCM音色に関しては、全部入れてくれという佐野さんの強い要望もあって。でも、波形メモリ容量の制限があるので、その辺のバランスは難しかったですね。たとえば2つのPCMを使って鳴っている音は、メモリがたくさん必要だったりするんですよ。

―― レイヤーになっている音色設定ですね。

金森 はい。レイヤー機能がないので、最初からレイヤーしたサウンドを用意して鳴らすということです。

―― それでエフェクトやフィルターも込みの音を拾っているんですね。

金森 そうです。だからM1と聴き比べてみると完全に同じではない音も多いんですが、その音色の雰囲気が出る、一番美味しいところを再現できるようにしています。

「完全に同じではないが、そのニュアンスがいちばん分かる音」を作っていったという

―― なるほど。それはセンスの要る仕事ですね。

佐藤 開発の人数を増やしたり、DS-10よりも大変でしたよ……。

―― わわっ、すみません分かりました。

佐野 今までにも色んなインタビューを受けて、いろんな人から「DS-10の時より全然楽な感じですよねー。音はもともとあったわけだしー」なんて言われるんですが、全然そうじゃないんですよ。

岡宮 そうそう。そこは心外だと、はっきり書いておいて下さいね。

―― 分かりました。簡単な仕事だと思っている皆さん。「心外」だそうです!

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