スリムになって片手操作しやすくなった
まずは本体サイズ。本体の高さや厚さは現行機種よりわずかに小さくなった程度だが、幅が一気に6mmもスリムになったことで、手の小さな男性や女性でも片手でムリなく操作可能になった。
当然、キートップの面積も小さくなってはいるが、キー全体を弧を描くように配置することで、可能な限り面積を稼ぎ出すことに成功している。伝統的な「しっかりとしたクリック感」も踏襲され打鍵ミスは起こりにくい。
ただし、手の大きな人には気がかりな点もある。ボディーがスリムなぶん、片手で持つと両端のキー(「a」「alt」「del」「確定」など)が親指で押しにくくなった。さらに片手操作の場合は、必然的に本体を指先に乗せる格好になるため、どうしても不安定になる。本体も約122gと軽いため、落下しそうになったことも何度かあった。個人差もあるが、本体が手になじむまでは両手でしっかり持った方がいいかもしれない。
トラックパッドが意外と使えてビックリ
ポインティングデバイスが、従来のトラックボールから光学式トラックパッドへ変更されたことを残念に思う人もいるかもしれない。しかしそれが杞憂だということは、使ってみてスグにわかった。
トラックボールよりもトラックパッドの方が、少ない動きでポインターを広い範囲へ動かせるので、特にウェブや写真、地図のスクロールをストレスなく行なえる。また、アプリストアのスクリーンショットは左右に並べられているのだが、これを閲覧する際にも、とてもスムーズ。トラックボールは指を離して小刻みに動かす必要があるが、トラックパッドは逆に指を離さないようにした方がグリグリ正確に動かせることも覚えておくといい。
トラックパッドと相性がいいのが純正のTwitterクライアントだ。慣性が働き、スーッと流れるようにスクロールするのが快適である。9700を手にしたら、ぜひ同アプリでトラックパッドのよさを実感してほしい。ちなみに純正のTwitterクライアントは前述のApp Worldからダウンロードできるが、こちらは英語版となる。日本語版のダウンロードは9700で「http://twitter.com/」へアクセスするといい。
筆者が特に気に入ったのは、写真閲覧時の挙動。写真を開き、トラックパッドを左右になぞると、前後の写真へスムーズに切り替わる。トラックパッドを繰り返し押すと連続してズーム可能で、気になる部分を拡大して確認するのがとても簡単になった。現行機種ではこうした操作をするそのつどメニュー操作が必要だったが、9700はトラックパッドのおかげで写真の閲覧が格段にラクになっている。
制約はあるがやっぱり楽しいアプリストア
9700がこれまでのBlackBerryと大きく異なるのは、公式アプリストア用アプリ「BlackBerry App World」(以下、App World)がプリインストールされ、初めからアプリストアを利用できるようになっている点だ。
アプリの数は7月13日時点で1430本と多くはないが、トップページから最短ツークリックでダウンロードできたり、インストール履歴を管理できるなど、iPhoneのApp StoreとAndroidマーケットのいいトコ取りをしたような作りをしており、使い勝手もいい。
また、TwitterやFacebook、Windows Live Messengerといったメジャーアプリも提供され、品揃えは思った以上に充実している。App StoreやAndroidマーケットで見覚えあるアプリも散見された。
ただしApp Worldが国内で本格的に普及するにはまだ時間がかかりそうだ。日本でも利用できるようになったとは言え、実態は海外のアプリストアをそのまま国内からでもアクセス可能にしたにすぎない。当然日本語アプリは見当たらないし、表記はすべて英語。国内での決済方法が未定のため有料アプリの購入もできない。今後のさらなる対応に期待したいところだ。
アプリの数では判断できない利便性
サイズも小さくなって日本人好みに?
iPhoneやAndroidと比較すると、活用のハードルは依然として高い。しかし、Twitterへ投稿する写真をすばやく選び出したり、独自の絵文字が使えるなど、コミュニケーションツールとして着実に進化している。特にこれまでBlackBerryのデカさがネックで敬遠してきた人にオススメしたい。
