新端末、新OSがリリースされるも
話題の中心は中東でのBlackBerryへの規制
Research In Motion(RIM)は8月3日、最新のBlackBerry端末として「BlackBerry Torch 9800」を発表した。同社初のフルタッチスクリーンとスライド式キーボードを搭載した機種で、OSも新たになったが、メディアでの話題は中東各国でのBlackBerry禁止に集まっている。RIMは今後、BlackBerry禁止の動きにどう対応するのだろうか?
BlackBerryは携帯電話メーカーの中でもちょっと変わった存在だ。RIMはApple同様、OSから端末までを手がけるメーカーで、ユーザーにビジネスユーザーが占める比重が高い。RIMは1996年創業だが、2002年にプッシュ式電子メール機能を導入、これが1990年代にPDAを愛用したような欧米のエグゼクティブに受け入れられた。
早くから携帯電話で電子メール利用が可能だった日本とは異なり、欧米ではそれまでプッシュ式電子メールの利用は不可能に近く、BlackBerryがもたらしたといってもよいだろう。その後、多くのグローバル企業が企業単位で導入、ビジネスマンの必須ツールといわれるようになり、BlackBerry中毒(“BlackBerry Addict”)などという流行語も生まれた。世界で最も有名なBlackBerryユーザーは、アメリカの大統領、Barack Obama氏だろう。大統領選挙中にも活躍したというし、大統領となってからも制限はあるもののBlackBerry利用を継続しているようだ。
BlackBerryの強みは専用サーバー「BlackBerry Enterprise Server(BES)」だ。同サーバーを利用したソリューションにより、プッシュ電子メールだけでなく「Microsoft Exchange」「IBM Lotus Domino」などグループウェアとの接続が可能になる。セキュリティも大きな特徴で、電子メールをはじめとしたデータ通信はすべて暗号化され、カナダかイギリスにあるRIMのオペレーションセンターを経由する。BESは顧客維持というメリットももたらし、RIMのビジネスモデルにとって非常に重要な技術となる。
この特異性は他のスマートフォンとの差別化になるが、国によっては障害となる。最近のBlackBerry禁止の動きはその例だ。

この連載の記事
-
第342回
スマホ
AR/VRの長すぎる黎明期 「Apple Vision Pro」登場から6ヵ月、2024年Q1は市場はマイナス成長 -
第341回
スマホ
世界で広がる学校でスマホを禁止する動き スマホを使わない時間を子供が持つことに意味がある? -
第340回
スマホ
対米関係悪化後も米国のトップ大学や研究機関に支援を続けるファーウェイの巧みな戦略 -
第339回
スマホ
ビールのハイネケンが“退屈”な折りたたみケータイを提供 Z世代のレトロブームでケータイが人気になる!? -
第338回
スマホ
ファーウェイはクラウドとスマホが好調で大幅利益増と中国国内で復活の状況 -
第337回
スマホ
米司法省、アップルを独禁法違反の疑いで提訴 その中身を整理する -
第336回
スマホ
Nokiaブランドのスマホは今後も出される! バービーとのコラボケータイ、モジュール型などに拡大するHMD -
第335回
スマホ
ファーウェイスマホが中国で好調、次期HarmonyOSではAndroid互換がなくなる!? -
第334回
スマホ
Nokiaのスマホはどうなる!? HMD Globalが自社ブランドのスマホを展開か -
第333回
スマホ
アップルがApp Storeで外部決済サービスを利用可能に ただし手数料は27% -
第332回
スマホ
米国で特許侵害クロ判定で一時は米国で販売停止のApple Watch、修正は認められるか? - この連載の一覧へ