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開発環境の刷新を図るResearch In Motion
BlackBerryでおなじみののカナダ企業、Research In Motion(以下、RIM)は9月末にアメリカで開発者向け会議「BlackBerry DEVCON 2010」を開催した。最大の目玉は同社初のタブレット端末となる「BlackBerry PlayBook」のお披露目となったが、開発環境周りでも多数の発表がなされた。今回はRIMのプラットフォーム/開発者戦略を見てみたい。
BlackBerryは電子メール機能が評価され、北米や欧州のビジネスユーザーから広まっていった。そのような経緯から、ユーザー層の中心を占めるのはグローバル展開する大企業ユーザーだ。
RIMは中小企業(SMB)への拡大を視野に入れているはずだが、決定打が出る前にiPhoneやAndroid搭載機などが登場し、急速にスマートフォンの勢力図を塗り替えている。コンシューマーへの影響力は大きく、SMB市場攻略はおろか、得意なはずの大企業ユーザーの市場でも従業員の希望もあってBlackBerry離れが起こっているという話もあるようだ。
このような流れから、RIMの将来に悲観論もあるようだが、トレンドの受け入れという点では、(タッチ対応機種の投入のときに比べると)今回のタブレット投入は早く、活発に攻防戦に出ているように見える。
このカンファレンスでRIMは、アプリケーション開発関連で、「BlackBerry WebWorks」「BlackBerry Enterprise Application Development Platform」(プレビュー版)、「BlackBerry Analytics Service」「BlackBerry Advertising Service」「BBM Social Platform」の5つを発表している。
WebWorksは、RIMが2009年10月に発表した「BlackBerry Widget」のアップデートとなる開発ツールだ。同ツールに含まれるパッケージツールやWeb APIを使って、ウェブ開発者はHTML、CSS、JavaScriptでBlackBerryプラットフォームとシームレスに統合するアプリケーションが構築できる。コードをオープンにすることで、JavaScriptツールでしられるDoJo Foundationなどオープンソースコミュニティの支持も取りつけている。
これに対し、Enterprise Application Development Platformは、RIMの言うところの「Super Apps」(BlackBerryプラットフォームと密に連携するアプリ)を開発できるミドルウェアである。API、ライブラリ、サーバーを使ってRIMユーザーが利用するような業務アプリケーションをBlackBerryと統合できるもので、IBM、SAPなどの業務アプリベンダーや大企業向けとなる。
Analytics ServiceとAdvertising Serviceはアプリケーション開発者向けのサービス。Analyticsは開発者が自分のアプリケーションを測定・解析できるもので、WebTrendsと提携して実現した。Advertisingはアプリ内に広告を配置できるもので、開発者に新しい収益源を提供する。
最後のBBM Social Platformは開発者が「BlackBerry Messenger(BBM)」のソーシャル機能を活用できるもの。ユーザーのBBMプロフィールにアプリのステータスを挿入する、などのことが可能になるという。

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