とは言ったものの、実のところこれらの点は「ささいなこと」である。文章で書くとキツめに感じるが、実際の不満はそこまで高くない。
ディスプレーのむらといっても、言われなければわからない程度であるし、特にビジネス用途向けと考えると、気になるほどの差ではない。だが、元々の発色が良く、表面のグレアコートも低反射加工のもので、液晶パネル全体のクオリティーが高めに維持されていることから、逆に光量むらの方が気になってしまった。
ファンにしても、「動き始め」だけが気になるくらいで、使い始めてしまえばどうということはない。空調やテレビの音がしていれば、気になることはまずあるまい。だが、それらひとつひとつが積み重なると、「ああ、低価格なモデルなのだな」ということを、しみじみと感じてしまうのである。
例えば、自分が学生や就職したてのビジネスパーソンで、懐具合が厳しいならば、VAIO Yを喜んで利用するだろう。メインマシンとして使える上に、持ち運んでの長時間利用にも問題はない。だが上位モデルの「こだわり」を知っているがゆえに、寂しいものを感じてしまうのも、また事実なのだ。
同様のボディーとプラットフォームを採用しながらも、CTO方式で販売される「VAIO ORNER MADEモデル」(VOMモデル)では、天板のカラーを変更したモデルを選べるようになっている。今回試用した店頭モデルはシルバーボディーに白のキーボードで、いかにも安っぽく、自己主張が薄い。せっかく買うならVOMモデルを選んだ方がいいだろう。価格は上がるが、性能面でもCore i5-430UMや256GB SSDを選択できるなど強力だ。そうすれば、多少なりとも「自分だけのものを買った高揚感」を味わえるだろう。
- お勧めする人
- ・低価格なモバイルノートを求めている人
- ・13.3型の「メインでも使える製品」を探している人
VPCY219FJ/S の主な仕様 | |
---|---|
CPU | Core i3-330UM(1.20GHz) |
メモリー | 4GB |
グラフィックス | CPU内蔵 |
ディスプレー | 13.3型ワイド 1366×768ドット |
ストレージ | HDD 500GB |
無線通信機能 | IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 2.1 |
インターフェース | USB 2.0×3、HDMI出力、ExpressCard/34、ヘッドホン出力など |
サイズ | 幅326×奥行き226.5×高さ23.7~32mm |
質量 | 約1.78kg |
バッテリー駆動時間 | 約7時間 |
OS | Windows 7 Home Premium 32bit版 |
予想実売価格 | 11万5000円前後 |
発売予定日 | 6月19日 |
筆者紹介─西田 宗千佳
1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。主に取材記事と個人向け解説記事を担当。朝日新聞、読売新聞、アエラ、週刊東洋経済、月刊宝島、PCfan、YOMIURI PC、AVWatch、マイコミジャーナルなどに寄稿するほか、テレビ番組・雑誌などの監修も手がける。近著に、「美学vs.実利『チーム久夛良木』対任天堂の総力戦15年史」(講談社)、「クラウド・コンピューティング仕事術」「iPhone仕事術!」(朝日新聞出版)、「iPad vs.キンドル」(エンターブレイン)。
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