Xeon W5580に比べて大幅に性能が向上
それでは、最新のXeon X5670を2基搭載したHP Z600のパフォーマンスを検証してみることにしたい。試用機のOSは、Windows 7 Professional 64bit版である。
今回の試用機は、Xeon X5670を2基搭載しているため、合計12コアとなり、HTテクノロジーを有効にすれば24スレッドの同時実行が可能になるが、デフォルト設定では、HTテクノロジーは無効にされており、同時実行可能なスレッド数は12となっていた。
16スレッドを超えるマルチスレッド動作に対応しているアプリケーションなら、HTテクノロジーを有効にしたほうがパフォーマンスが向上するが、16スレッド以下のスレッドしか生成しないアプリケーションの場合、HTテクノロジーを有効にするとかえってパフォーマンスが低下する可能性があるからだ。
マルチコアの性能を生かすためには、アプリの対応も
そこで、最大16スレッドの同時実行に対応した3Dレンダリングベンチマークソフトの「CINEBENCH R10」と、最大64スレッドの同時実行に対応した3Dレンダリングベンチマークソフトの「CINEBENCH R11.5」を利用して、HTテクノロジー有効時と無効時でのベンチマークテストをおこなってみた。
CINEBENCH R10については、以前、クアッドコアのXeon W5580を2基搭載したHP Z800 Workstationで計測をおこなったので(HTテクノロジー有効時)、そのスコアと比較してみた。
CINEBENCH R10 64bit | |
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HP Z600/HTテクノロジー有効(24スレッド) | 34420 |
HP Z600/HTテクノロジー無効(12スレッド) | 39606 |
HP Z800/HTテクノロジー有効(16スレッド) | 29908 |
まず、CINEBENCH R10の結果だが、HP Z600でHTテクノロジーを有効にすると、HTテクノロジー無効時に比べて、スコアは13%程度低下してしまった。
前述したように、CINEBENCH R10は16スレッドまでの同時実行にしか対応しておらず、HTテクノロジーを有効にすると、スレッドあたりの演算ユニットなどのリソースが低下してしまうので、パフォーマンスが低下してしまうのだ。しかし、Xeon W5580を2基搭載したHP Z800に比べると、Xeon X5670を2基搭載したHP Z600は、約32%もスコアが向上している(HTテクノロジー無効時)。
CINEBENCH R11.5 64bit | |
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HP Z600/HTテクノロジー有効(24スレッド) | 15.78pts |
HP Z600/HTテクノロジー無効(12スレッド) | 13.03pts |
HP Z800/HTテクノロジー有効(16スレッド) | 未計測 |
それに対し、CINEBENCH R11.5は、HTテクノロジーを有効にすることで、スコアが約21%向上している。16スレッドを超えるマルチスレッド動作に対応したアプリケーションなら、HTテクノロジーを有効にしたほうがパフォーマンスが上がるが、そうでないアプリケーションを使う場合は、HTテクノロジーを無効にしたほうがよいだろう。
HTテクノロジーを無効にしても、6コアCPUを2つ搭載したHP Z600のパフォーマンスは、非常に高いといえる。